「また排泄の報告か……。どう書けばいいんだろう?」
あなたは今、介護施設で働いていて、利用者さんの排泄に関する報告書の作成に頭を悩ませていませんか?「今日は軟便でした」「トイレに行く回数が増えました」と、事実だけを淡々と書く。もちろんそれも大事です。でも、それだけで本当にご家族は安心できるのでしょうか?
実は、排泄の報告って、単なる事実の伝達じゃないんです。書き方ひとつで、ご家族との信頼関係を深めたり、利用者さんへのより良いケアにつなげたり、はたまた深刻な病気の兆候を見つけるきっかけになったりする、極めて重要なコミュニケーションツールなんです。
この記事では、介護のプロとして知っておくべき、排泄異常を家族に伝えるための「5つの秘訣」を具体的にお伝えします。これを読めば、あなたの報告書は単なる連絡帳から、ご家族が「この施設に任せて安心だ」と心から思える、信頼の証へと生まれ変わるはずです。
なぜ高齢者の排泄異常を正確に報告する必要があるのか?

介護のイメージ
高齢者の排泄は、単なる生理現象ではありません。それは健康状態を映し出す「鏡」のようなものです。排泄の状態がいつもと違うと感じたとき、私たちはその背後にある複数の可能性を考慮する必要があります。
たとえば、急な下痢は、単なる食べ過ぎかもしれませんし、感染症の初期症状かもしれません。便秘も、水分不足や運動不足が原因の場合もあれば、重大な内臓疾患が潜んでいることもあります。ご家族は、日中ご本人と離れて過ごしているため、こうしたわずかな変化に気づくことができません。だからこそ、私たち介護職員が、ご家族の「目」となり「耳」となり、細かく正確に報告する必要があるのです。
正確な報告は、ご家族の不安を和らげるだけでなく、医療機関への受診を促す判断材料にもなります。また、ご家族との連携によって、自宅でのケアや食事の見直しにつながり、利用者さんのQOL(生活の質)向上にも直結します。
【介護のプロが教える】排泄報告の5つの鉄則
では、具体的にどのように報告すれば、ご家族に「伝わる」文章になるのでしょうか。これまでの経験から導き出した、5つの鉄則をお伝えします。
鉄則1事実+所見+アセスメントの3ステップで書く
多くの介護職員が陥りがちなのが、「今日は軟便でした」という事実だけの報告です。これではご家族は「なぜ?」「大丈夫なの?」という疑問を抱えてしまいます。そこで、次の3つの要素を盛り込むように意識しましょう。
- 事実(客観的な情報)便の色、形、量、回数、ニオイ、おむつの状態などを具体的に書く。
- 所見(主観的な情報)利用者さんの表情や声の調子、行動の変化など、排泄時の様子を付け加える。「排泄時に少し辛そうな表情をされていました」「排泄後『すっきりした』と笑顔でした」など。
- アセスメント(考察・推測)なぜその状態になったのか、考えられる原因を推測し、今後の対応を提案する。「昨日の水分摂取量が少なかったため、便が硬くなったのかもしれません。水分補給をこまめに声かけしていきます」など。
この3ステップで書くことで、ご家族は多角的な情報を得ることができ、「ただ報告された」から「一緒に考えてくれている」という安心感へと変わります。
鉄則2専門用語を使わず「ご家族目線」で書く
私たちは日々、専門用語に囲まれて仕事をしていますが、ご家族にとって「泥状便」「タール便」「失禁」といった言葉は、意味が分からなかったり、不快に感じたりする可能性があります。
例えば、「泥状便」は「少しドロッとした便」、「タール便」は「海苔の佃煮のように黒っぽい便」と表現するなど、より身近な言葉に置き換える工夫が必要です。
また、「失禁」という言葉は、ご本人やご家族が尊厳を傷つけられたと感じることがあります。「おむつから漏れてしまった」「おむつの中にたくさんの排泄物がありました」など、状況をありのままに伝えることで、ネガティブな印象を和らげることができます。
【具体例あり】高齢者の排泄異常報告テンプレート
ここからは、実際に連絡帳に書く際のテンプレートをいくつかご紹介します。ご自身の状況に合わせてアレンジしてみてください。
便秘が続いている場合の報告例
【事実】
本日も排便がなく、昨日から排便がありません。3日前から固めの便が少量出ている状態が続いています。
【所見】
食欲はありますが、時折「お腹が張っている」と話され、少し辛そうな表情をされていました。
【アセスメントと提案】
水分摂取量を増やしていただくよう声かけを行っています。本日のおやつは食物繊維が豊富なバナナにしました。明日の朝、排便がない場合は、かかりつけ医にご相談いただくことをご提案します。ご家族の方で何かお心当たりはございますか?
下痢が続いている場合の報告例
【事実】
本日、午前中に3回、午後からも2回水のような下痢がありました。熱は36.5℃で平熱です。
【所見】
排泄後も倦怠感が強く「体がだるい」とおっしゃり、横になっている時間が長かったです。脱水症状を防ぐため、少量ずつ水分補給を促しました。
【アセスメントと提案】
何かお食事で変化があったかお伺いしましたが、特に心当たりはないとのことでした。施設では胃腸に優しい食事に変更し、様子を見ていきます。明日の朝も下痢が続くようでしたら、念のため医療機関での診察をおすすめいたします。
これらの例文は、事実だけでなく、ご本人の気持ちや私たちの対応を具体的に書くことで、ご家族の安心感につながるように工夫しています。
介護に関する疑問解決Q&A
Q1排泄介助に時間がかかってしまい、連絡帳を書く時間がありません。どうすればいいですか?
介護現場は常に時間との闘いです。しかし、報告は後回しにすると忘れてしまい、正確な情報が書けなくなります。排泄介助の直後に、簡単なメモを取ることを習慣にしましょう。
- 便の色、形、量、ニオイなどを記号や略語でメモする。
- 利用者さんの表情や一言をメモする。「Sさん、便秘で辛そう」「Tさん、お腹が張ってる」など。
- メモを連絡帳に転記する際に、先の「5つの鉄則」に沿って肉付けしていく。
また、施設内で介護記録ツールを導入したり、他のスタッフと協力して報告業務を分担したりすることも有効です。
Q2排泄物を「汚いもの」と感じてしまい、報告内容が事務的になってしまいます。どうしたらいいですか?
排泄介助は、決して「汚い仕事」ではありません。それは、利用者さんの健康を管理し、尊厳を守るための大切なケアです。
排泄物は、その日の体調や生活習慣を教えてくれる、ご本人からの貴重なメッセージだと考えてみてください。便の色や形で、前日の食事内容を想像したり、水分摂取量を振り返ったり、まるで探偵のように謎を解くような気持ちで観察すると、新たな発見があるかもしれません。この視点を持つことで、事務的な報告ではなく、利用者さんへの愛情と配慮に満ちた報告へと変わっていくはずです。
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まとめ信頼のコミュニケーションを築くために
今回は、高齢者の排泄異常を家族に伝えるための報告のコツをお伝えしました。
- 排泄報告は、単なる事実の伝達ではなく、信頼関係を築くための重要なコミュニケーションである。
- 「事実+所見+アセスメント」の3ステップで、ご家族が納得できる報告書を作成する。
- 「泥状便」は「ドロっとした便」など、ご家族目線で分かりやすい言葉に置き換える。
- 排泄物は、利用者さんからの健康状態を教えてくれるメッセージであると捉える。
あなたの報告書は、利用者さんの日常をご家族に伝え、安心と信頼を生み出す最強のツールです。今日から、ここに書かれているポイントをひとつでも取り入れてみてください。きっと、ご家族との会話がよりスムーズになり、利用者さんへのケアもさらに質の高いものになるはずです。
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