親の認知症が発覚したとき、あなたはどんな気持ちになりますか？「これからどうすればいいの？」「仕事は辞めなきゃいけないの？」といった不安や焦りで頭の中がいっぱいになるのではないでしょうか。この記事を読んでいるあなたは、今まさに介護と仕事の両立に悩んでいるのかもしれません。
遠距離介護で認知症の母を8年間支えてきた私自身の体験談を通して、そんなあなたの不安を少しでも和らげ、未来に希望が持てるようなヒントをお伝えします。これは、単なる体験記ではありません。多くの人が知らない、介護を乗り越えるための具体的な知識と心の持ち方を、圧倒的な価値と学びを込めてお話ししていきます。
親の「おかしいな」から始まった在宅介護の始まり
介護のイメージ
私の母が認知症と診断されたのは、祖母の救急搬送がきっかけでした。当時、私は東京で会社員として働いており、岩手に住む母は認知症の祖母の介護をしていました。
祖母が運ばれた翌朝、母が祖母の入院手続きをしていなかったという妹からの電話に、私は驚きを隠せませんでした。実はその1年前から、母が同じ話を何度も繰り返したり、約束を忘れたりすることが増えていたのです。
「年相応の物忘れなのか？それとも認知症なのか？」
当時は転職したばかりで仕事が忙しく、私は母の状態を深く考えることを後回しにしていました。しかし、祖母の余命が半年と宣告され、私は遠距離で祖母と母の面倒を見る決断をしました。そして半年後、祖母が亡くなった後、母はアルツハイマー型認知症と診断されました。
私は、東京で仕事を続けながら、岩手の実家とを往復する遠距離介護の道を選びました。多くの介護職の方や親族からは、「地元に戻るべき」「施設に入れるべき」というアドバイスももらいました。しかし、東京での生活、そして自分のキャリアを投げ打つことはどうしても考えられなかったのです。
認知症介護のストレスを乗り越えるための3つの真実
親が認知症と診断されたとき、多くの人が「自分の人生はもう終わりだ」「何もできなくなる」と誤解してしまいます。私もそうでした。しかし、それは大きな間違いです。認知症になっても、適切な知識とサポートがあれば、自立した生活を長く続けることができるのです。
では、そのストレスをどう乗り越えればいいのでしょうか？ここでは、私が実際に経験し、効果を実感した3つの真実をお伝えします。
真実1認知症は情報戦！知識は最高の「お守り」になる
「介護は情報戦」とよく言われますが、認知症もまさに情報戦です。なぜなら、多くの人が認知症という言葉の響きだけで、必要以上に深刻に考えてしまうからです。
しかし、実際の認知症は、正しい医療やお薬、そして周囲のサポートがあれば、進行を遅らせたり、穏やかな時間を過ごすことができます。認知症に関する「少し」の正しい知識があるだけで、最初のショックは驚くほど小さくなります。
例えば、私が運営するブログや講演会には、全国から「親が認知症と診断されたけど、どうすればいいか分からない」という悩みが多く寄せられます。私はいつも「まずは本を1冊読んでみて」とアドバイスしています。たった1冊の本が、あなたの未来を明るく照らす第一歩になるはずです。
真実2介護離職は最後の選択肢！まずは「地域包括支援センター」と「介護休業制度」を知ろう
「親の介護のために仕事を辞めなきゃ…」そう考える人は少なくありません。ある調査によると、誰にも相談せずに介護離職を決めた人が2人に1人もいたそうです。なぜでしょう？それは、「誰に相談していいか分からない」からです。
でも、ちょっと待ってください。介護離職は、あなたの人生を大きく変える決断です。まずは以下の2つの制度を最大限に活用しましょう。
- 地域包括支援センター親が住む地域の包括（ほうかつ）は、介護の専門家集団です。介護保険の申請やサービス利用の相談にのってくれます。包括に相談した人の介護離職率は、相談しなかった人のなんと10分の1にまで減少するというデータもあります。
- 介護休業制度これは「自分で介護をするための休み」ではなく、「介護の態勢を整えるための休み」です。一人当たり最大93日取得でき、3回に分割して利用可能です。この期間に、要介護認定の面談をしたり、ケアマネジャーと介護計画を立てたりすることができます。
これらの制度を知っているだけで、あなたは一人で抱え込む必要がなくなり、仕事を辞めずに済む可能性がぐっと高まります。
真実3認知症介護のステップを知れば、未来が見えて気持ちが楽になる
「この先、一体どうなるんだろう…」と不安を感じているなら、認知症介護家族が必ずたどる4つのステップを理解しておきましょう。これは、川崎幸クリニック院長の杉山孝博先生が提唱するもので、揺れ動く家族の心情を見事に言語化しています。
- 戸惑い今までできていたことが急にできなくなり、親が変なことを言い出すので、「あれ？」と戸惑う時期です。
- 否定・混乱・怒り親の認知症を認めたくない気持ちから「否定」し、どう対応していいか分からずに「混乱」します。次第にうまくいかないことに「怒り」を感じ、介護を「拒絶」したくなるほど疲労困憊する時期です。
- 割り切り・あきらめ自分自身の身が持たないことに気づき、良い意味で認知症を「割り切る」ことができ、親と接し方が変わることで介護に希望が見え始めます。
- 受容認知症への理解が深まり、親自身をあるがままに受け入れられるようになります。
私は介護を始めて2カ月目でこのステップを知り、「今はあの混乱の時期なんだな」と冷静に自分と向き合うことができました。未来の道筋が見えると、心に余裕が生まれるのです。
在宅介護の疑問解決Q&A誰も教えてくれないリアルな話
「在宅介護」には、教科書には載っていないリアルな疑問がたくさんあります。ここでは、多くの人が抱くであろう疑問に、私の経験を交えながらお答えします。
Q1遠距離介護ってやっぱり大変？どれくらいの頻度で帰省していましたか？
遠距離介護は、たしかに体力と精神力を消耗します。しかし、不可能ではありません。私は介護離職してフリーランスになってから、月に2回、1週間ほど帰省する生活を送っていました。交通費や滞在費はかかりますが、仕事と両立できるという大きなメリットがありました。
重要なのは、「すべて自分でやろうとしない」ことです。私は帰省しない間、妹や地域包括支援センター、そしてケアマネジャーに頼っていました。一人で抱え込まないことが、遠距離介護を続ける上で最も大切なポイントです。
Q2介護と仕事の両立、どうすればいい？具体的な工夫を教えて！
両立の鍵は「介護のシステム化」です。具体的には、以下の3つのことを実践してみてください。
- タスクの整理介護に関するタスク（通院、買い物、役所手続きなど）をリストアップし、誰が何をするか、いつやるかを明確にします。
- 専門家の活用ケアマネジャーやヘルパーさん、訪問看護師さんなど、プロの力を借りることをためらわないでください。すべて自分でやる必要はありません。
- 職場の理解を得る会社の介護休業制度や短時間勤務制度など、利用できる制度がないか確認し、上司や同僚に相談してみましょう。正直に状況を話すことで、協力者が増えることもあります。
特に、介護休業は「休んでから考える」のではなく、休む前にしっかり計画を立てて、「何のために休むのか」を明確にすることが成功の秘訣です。
今すぐ介護の悩みを解決したい！どうしたらいい？
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親の人生も、子の人生も、終わりじゃない
ある日、私は母に「今の生活ってどう？」と聞きました。すると母は、「人生で今が1番楽しいかもしれない」と答えてくれました。この言葉を聞いたとき、私は涙が止まりませんでした。
認知症になっても、人生は終わるわけではありません。親が認知症になったからといって、あなたの人生も終わるわけではありません。
適切な知識と制度、そして周りの助けを借りることで、介護は辛いだけの時間ではなくなります。親が最期まで人生を楽しめるように、そしてあなた自身も笑顔でいられるように、この記事がそのための知恵と希望を届けることができたら、これ以上嬉しいことはありません。
まずは今日から、一歩を踏み出してみましょう。
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