毎日繰り返される食事介助。もしかして、「どうして食べてくれないんだろう…」「今日はなんだか機嫌が悪いな」と悩んでいませんか?「口を開けてくれない」「食べている途中でウトウトしてしまう」といった状況に、もどかしさや不安を感じている方も多いかもしれません。でも、ご安心ください。食事介助は単なる「食べさせる」行為ではありません。実は、ちょっとした視点の転換と工夫で、ご本人に「もっと食べたい」「自分でやってみたい」という気持ちを引き出すことができるんです。
このページでは、ご本人にとって心地よく、食事への意欲を高めるための、専門家も実践する7つのステップを具体的にお伝えします。
【9割が知らない】食事は「動作の記憶」と「無意識の習慣」でできている

介護のイメージ
私たちが普段、何気なく食事をしているとき、実は無意識のうちに驚くほど多くの動作を同時に行っています。右利きの方なら、右手で箸を持ち、自然と右上から口に運び、飲み込むと同時に上半身を少し前に傾ける、といった一連の動作です。これらの動きは、長年の習慣によって脳と体に深く刻み込まれた「動作の記憶」です。
認知症の方は、新しいことを覚えるのは苦手でも、この「動作の記憶」は比較的保たれていることが多いです。介護者は、この強みを最大限に活かすことが、食事介助の成功の鍵となります。無理に新しい動きを教えるのではなく、これまで積み重ねてきた過去の習慣を「現在に生かす」工夫をしてみましょう。
「当たり前」を再認識!本人が快適に感じる環境づくり
食事介助を始める前に、まずはご本人にとって最も心地よい環境を整えることが大切です。これは、私たちがレストランで席を選ぶときと同じ感覚です。少し視点を変えるだけで、ご本人の食欲や安心感を大きく引き出すことができます。
利き手側の「いつもの景色」を再現する
人は、長年慣れ親しんだ方向から食べ物が運ばれてくることに安心感を覚えます。介助する際は、まずご本人の利き手を意識してください。右利きの方なら右側から、左利きの方なら左側から介助することで、長年の習慣に基づいた自然な動きを引き出しやすくなります。
正面を避け、視界のストレスを減らす
あなたが誰かに真正面から見られながら食事をするのは、少し恥ずかしいと感じるかもしれません。これは、ご本人も同じです。介助者が正面に座っていると、ご本人は無意識に緊張してしまい、口を開きにくく感じることがあります。
このようなケースでは、視界に入りすぎない斜め前や横の位置に移動してみましょう。ただし、例外もあります。介助者が美味しそうに食べる姿を見せることで食欲が湧く方や、介助者が口を開けるのを真似てくれる方もいらっしゃいます。その方の反応をよく観察し、最も安心できる「あなたと食事の場所」を見つけてあげてください。
食事への参加を促す「魔法の介助テクニック」
食べ物を口に運ぶだけの介助から一歩踏み出し、ご本人が「自分も食事に参加している」と感じられるような介助を意識してみましょう。
手と腕を「優しく支える」最小限の介助
スプーンを口まで運ぶ動作は、手首や肘、肩など腕全体の連携が必要です。もし、ご本人が自分で腕を動かすのが難しいようでしたら、介助者はご本人の手首と肘の2点を優しく支えてみてください。この2点を安定させることで、ご本人の腕全体の動きを感じ取りやすくなり、必要最小限のサポートで自然な動作を促せます。ご本人が少しでも自分で動かせたときには、それが食事への参加意欲を高める大きなきっかけとなります。
「口まで運んだら待つ」黄金の3秒ルール
介助者がスプーンを口元に運んだ後、ついつい焦ってしまいますが、一度止まって3秒ほど待つことが非常に重要です。ご本人が自ら上半身を動かし、口元を近づけようとする動きを引き出すためです。この動きは、ご本人が「食べたい」という意思を示しているサインであり、食事への立派な参加です。もし上半身を動かしにくい方には、背中をそっと支え、少し前かがみを促す介助を試してみてください。
認知症の方の「食べる」を支える3つのヒント
「道具がうまく使えない」「口に食べ物を溜め込んでしまう」といった状況に直面したとき、どのように対処すればよいのでしょうか。
道具ではなく「手の感触」で食べるを思い出す
認知症の方の中には、スプーンや箸を手にしても、それが食事の道具だと認識できないことがあります。しかし、食事の動作は「動作の記憶」として残っている場合があります。
- 道具が使えない場合は、介助者が持つスプーンにご本人の手を添えてもらうことで、スプーンの感触や重さ、動く方向を感じ取ってもらうことができます。
- 片手が空いていれば、お椀や小鉢を軽く持ってもらい、そこから食べ物をすくうことで、食事に参加しているという意識を高められます。
- ご本人が昔から慣れ親しんだ「手づかみで食べられる」おにぎりやサンドイッチなども有効です。手のひらや指先の感覚は敏感で、食べるという動作を思い出しやすいと言われています。
###咀嚼を促す声かけで自然な嚥下へ繋げる
「飲み込んでくださいね」と声をかけるよりも、「よく噛んでくださいね」と声をかける方が効果的な場合があります。なぜなら、噛むという動作(咀嚼)は、その後の飲み込む動作(嚥下)と深く関連しているからです。
人は食べ物を咀嚼することで、無意識に飲み込みのタイミングを調整しています。認知症の方が口に食べ物を溜め込んでしまうのは、このタイミングが分からなくなっていることが一因です。咀嚼を促すことで、自然な流れで嚥下を促すことができます。また、食事中にご本人の好きな昔の話や思い出話をしてみるのも良いでしょう。ただし、会話に夢中になりすぎて咀嚼や嚥下を忘れてしまう方もいるので、その方の様子に合わせて声かけの量を調整してください。
介護 食事 介助に関する疑問解決Q&A
日々の食事介助でよくある疑問にお答えします。
食事に集中できないのはなぜですか?
食事に集中できない原因はいくつか考えられます。まずは、食事環境の見直しをしてみましょう。テレビやラジオの音、周囲の騒がしい雰囲気、散らかったテーブルなどが原因かもしれません。ご本人がリラックスして食事に臨めるように、静かで落ち着いた環境を整えてみてください。また、体調の変化や不安、もしかしたら歯の痛みや入れ歯の不具合など、ご本人から言葉にできない不調がある可能性も考慮に入れて、日頃から表情や仕草をよく観察することが大切です。
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「食べる」をもう一度楽しむためのまとめ
食事介助のゴールは、単に栄養を摂取することだけではありません。ご本人が「おいしい」「楽しい」と感じ、生きる喜びを再認識できる時間をつくることです。今日お伝えした7つのポイントを改めて確認してみましょう。
- 食事は「動作の記憶」でできていることを理解する
- ご本人の利き手側から介助する
- 正面を避け、視界のストレスを減らす
- 手首と肘の2点を優しく支える
- スプーンを口元に運んだら3秒待つ
- 道具が使えなくても「手の感触」で参加を促す
- 「飲み込んで」ではなく「よく噛んで」と声をかける
これらのポイントを実践することで、ご本人とあなたの間に心地よいリズムが生まれ、食事の時間がもっと笑顔に満ちたものに変わっていくはずです。一つひとつの小さな工夫が、ご本人の「自分らしさ」を尊重し、食べる意欲を引き出す大きな力となります。ぜひ、今日から実践してみてください。
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