「要介護認定の申請日」と「認定日」の間。このたった数週間の“空白期間”が、訪問リハビリを提供するセラピストや事業所にとって、どれほどのストレスになっているかご存知でしょうか?
「医療保険でリハビリを続けたら返戻になった…」
「かといって、リハビリを止めると利用者の状態が悪化してしまう…」
これは、多くのセラピストが実際に直面している「制度上のグレーゾーン」です。このモヤモヤ、どうすればスッキリ解決できるのか。この記事では、この複雑な問題の根源から、今日からすぐに実践できる具体的な対応策まで、圧倒的な情報量でお届けします。これを読めば、もう「どうすればいいの?」と悩むことはなくなります。
なぜ「申請日~認定日」が問題になるのか?制度の仕組みを徹底解説

介護のイメージ
この問題の根源は、介護保険制度と医療保険制度の複雑な関係性にあります。原則として、介護保険の要介護認定を受けた利用者(40歳~64歳で特定疾病を抱える方、または65歳以上の方)は、介護保険サービスが優先されます。
介護保険と医療保険の優先関係の原則
「介護保険の要介護認定を受けた利用者は、介護保険が優先される」という大原則は、多くのセラピストが理解していることでしょう。しかし、この原則には見過ごされがちな重要なポイントがあります。それは、「介護保険の効力は、申請日までさかのぼる」という点です。
例えば、5月1日に介護保険の申請を行い、6月1日に「要介護1」と認定された場合、介護保険のサービスは5月1日から適用されることになります。このため、申請から認定までの間に医療保険で訪問リハビリを提供していた場合、介護保険の優先原則に反していると判断され、審査機関から「返戻(へんれい)」されるリスクが高まります。
返戻のリスクがもたらす現実的な課題
返戻は、単に報酬が支払われないだけでなく、事業者にとって非常に大きな負担となります。返戻された報酬を再度請求するには、利用者の介護保険契約を結び直し、ケアプランを修正し、場合によっては利用者から医療保険分の自己負担額を返金し、介護保険分の自己負担額を請求し直すなど、膨大な事務作業が発生します。
さらに、この混乱は利用者にも及びます。突然の返金や追加請求は、不信感を生み、事業所への信頼を損なうことにもつながりかねません。
申請日から認定日までの「空白期間」を乗り切るための3つの選択肢
このグレーゾーンに直面したとき、事業所には主に3つの対応策が考えられます。それぞれのメリットとデメリットを理解し、事業所の状況や方針に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
選択肢1介入を一時的に「中止」する
最も安全でリスクが低いのが、認定結果が出るまで訪問リハビリの提供を一時的に中止する方法です。
- メリット 医療保険での返戻リスクを完全に回避できます。事務作業も発生しません。
- デメリット 利用者のリハビリが中断され、状態が悪化するリスクがあります。また、他事業所に利用者を奪われる可能性もゼロではありません。
特に、病状が不安定な利用者や、リハビリの中断が状態に大きく影響する利用者にとっては、この選択は慎重に検討すべきです。利用者のQOL(生活の質)を最優先に考えるのであれば、他の選択肢も視野に入れるべきでしょう。
選択肢2医療保険で介入し、認定後に「さかのぼって」介護保険に切り替える
これは、認定後に介護保険契約を結び直し、医療保険で受け取った報酬を返金し、介護保険で再請求するリスクを前提とした方法です。
- メリット 利用者のリハビリを中断することなく継続できます。
- デメリット 認定結果が要介護認定なし(非該当)となった場合、サービス提供分が自費扱いとなり、利用者に全額を請求する必要があります。また、認定後に膨大な事務作業が発生し、返戻のリスクも伴います。
この方法は、利用者と事業所双方に事務的な負担がかかるため、事前の丁寧な説明と同意が不可欠です。また、「要介護認定なし」という結果が出た場合の対応についても、事前に明確なルールを決めておく必要があります。
選択肢3ケアマネジャーと連携し「仮のケアプラン」を作成して介入する
この方法が、多くの先進的な事業所が採用しているベストプラクティスです。申請が受理された時点でケアマネジャー(地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所)に相談し、暫定的な介護保険サービス計画書(ケアプラン)を作成してもらいます。
- メリット 介護保険での介入を前提として動けるため、医療保険での返戻リスクを回避しつつ、利用者のリハビリを継続できます。認定後にスムーズに介護保険への移行が可能です。
- デメリット ケアマネジャーによっては、暫定的なケアプランの作成を拒否されるケースもあります。また、事業所側も認定日以降の正式なケアプランが確定するまで、請求を遅らせるなどの対応が必要になります。
この方法は、ケアマネジャーとの密な連携が鍵となります。日頃から良好な関係を築き、スムーズな情報共有ができる体制を整えておくことが非常に重要です。
「介護に関する疑問解決」これってどうなの?具体的なQ&A
訪問リハビリの現場でよく聞かれる疑問について、具体的に回答します。
Q. 認定結果が出るまで、訪問リハビリ以外のサービス(デイサービスなど)は利用できる?
A. 介護保険の申請を行えば、認定結果が出るまでの間でも、暫定的なケアプランに基づいて介護保険サービスを利用できる場合があります。ただし、これは事業所やケアマネジャーの判断に委ねられる部分が大きく、すべてのサービスが利用できるわけではありません。訪問リハビリと同様に、認定結果が非該当だった場合のリスクを考慮したうえで、慎重な判断が必要です。
Q. 認定が非該当(自立)だった場合、リハビリはもう受けられない?
A. 介護保険のサービスは利用できませんが、引き続き医療保険での訪問リハビリを受けることは可能です。ただし、医師が「継続的にリハビリが必要」と判断し、訪問リハビリの利用条件を満たしている場合に限ります。また、介護保険の要介護認定とは別の、身体障害者手帳などがあれば、それに関連する公的サービスを利用できる可能性もあります。
訪問リハビリ事業所が今すぐ取り組むべき3つのアクションプラン
この複雑な問題を乗り越え、事業所を安定的に運営していくために、今すぐ取り組むべき具体的な行動計画をまとめました。
- 社内でのルールと対応マニュアルを作成する
申請日〜認定日の期間における対応方針(介入を中止するのか、暫定ケアプランで進めるのかなど)を明確にし、すべてのスタッフが同じ判断基準で動けるようにマニュアル化しましょう。医事課や事務担当者との連携フローも具体的に定めておくことが重要です。 - 担当ケアマネジャーとの信頼関係を強化する
日頃から積極的にケアマネジャーと情報交換を行い、連携体制を強化しましょう。暫定ケアプランの作成を依頼しやすい関係性を築くことで、利用者のリハビリ中断を防ぎ、スムーズなサービス提供が可能になります。 - 利用者と家族に丁寧な説明と同意を得る
申請から認定までの期間に生じる可能性のあるリスク(リハビリの中断、認定結果が非該当だった場合の自費負担など)について、事前に利用者と家族に丁寧に説明し、書面で同意を得ておきましょう。これにより、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
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まとめ知識と準備があなたの事業所と利用者様を守る
「介護保険の申請日~認定日」という期間は、制度上のグレーゾーンであり、事業所によって対応が分かれるのが現状です。しかし、この問題の本質を理解し、適切な知識と準備があれば、返戻のリスクを回避しつつ、利用者のリハビリを継続することが可能です。
この記事でご紹介した3つの選択肢やアクションプランを参考に、あなたの事業所に合った最適な運用方法を構築してください。知識を深め、万全の準備をすることで、利用者様により良いリハビリテーションを提供し続けられるはずです。
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