「毎月の介護費用、いつまで払い続けるんだろう…」
そんなふうに、漠然とした不安を感じていませんか?特に、在宅介護を選んでいるご家庭では、医療費と介護費が同時にかかり、気づかないうちに家計がじわじわと圧迫されているケースが少なくありません。介護サービス、医療費、薬代…一つ一つは少額でも、年間で計算すると驚くような金額になっていることも。
実は、多くの人が「高額療養費」という言葉は知っていても、在宅介護に特化した「医療費と介護費を合算して上限を超えた分が戻ってくる」制度があることは知らないまま、年間数十万円も損している可能性があります。
この記事では、年間数十万円の払い戻しを受けられるかもしれない「高額医療・高額介護合算療養費」制度について、あなたが今すぐ知っておくべきポイントを、専門家として分かりやすくお伝えします。
高額医療・高額介護合算療養費とは?仕組みと知られざる「払い戻し」の真実

介護のイメージ
まず、この制度の基本的な仕組みを理解しましょう。これは、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯が対象となる制度です。
「高額療養費」と「高額介護サービス費」との決定的な違い
この制度を理解する上で、多くの人が混同する2つの制度と区別することが重要です。
- 高額療養費医療費の自己負担額が、月単位で上限を超えた場合に払い戻される制度です。
- 高額介護サービス費介護サービス費の自己負担額が、月単位で上限を超えた場合に払い戻される制度です。
これらは「月ごと」に計算されるのに対し、高額医療・高額介護合算療養費は「年ごと」に計算されます。具体的には、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間で、医療費と介護費の自己負担額の合計が、世帯ごとの上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。
在宅介護では、入院と違って医療費が毎月一定額かかるわけではありません。通院や訪問診療、訪問看護、薬代など、月の自己負担額が高額療養費の対象にならない程度の出費が続いたとしても、年間で合算するとかなりの額になります。この年間でかかる費用を対象にできるのが、この制度の最大のメリットなのです。
払い戻し額を左右する「3つの壁」
この制度でどれだけ払い戻しを受けられるかは、以下の3つの要素によって大きく変わってきます。
所得区分による自己負担限度額の「壁」
自己負担限度額は、世帯の所得状況によって細かく区分されています。例えば、年収約156万円から370万円の70歳以上の世帯の場合、年間の限度額は56万円です。しかし、これが現役並みの所得がある世帯になると67万円、低所得者の場合は31万円と大きく変動します。
自己負担限度額は、市区町村やご加入の健康保険組合のウェブサイトで確認できますが、自分の世帯がどの区分に該当するのかを正確に把握することが、払い戻し額を予測する第一歩です。
70歳未満と70歳以上で異なる「合算ルール」の「壁」
ここが多くの人が見落としがちな、最も複雑なポイントです。70歳以上の医療費は、自己負担額をすべて合算できますが、70歳未満の場合は、医療機関や薬局ごとに1ヶ月の自己負担額が2万1000円以上のものしか合算対象になりません。
例えば、毎月5,000円の通院が3か所ある場合、それぞれは2万1,000円以下なので、合算対象外になってしまうのです。このルールを知らずに「うちの世帯は合算対象外か」と諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
「医療保険上の世帯」という見えない「壁」
この制度は、「住民票上の世帯」ではなく「医療保険上の世帯」で合算します。
例えば、国民健康保険に加入している親と、会社員で健康保険組合に加入している子どもが同じ家に住んでいる場合、住民票上は同じ世帯でも、医療保険は別なので合算できません。
また、国民健康保険と後期高齢者医療制度も医療保険は別なので合算対象外です。
もし親と子の世帯が別であっても、親が国民健康保険、子が社会保険の扶養に入っているなど、医療保険の世帯が同じであれば合算できるケースもあります。
在宅介護で高額医療・高額介護合算療養費を申請するまでの5ステップ
申請は手間がかかると思われがちですが、実はとてもシンプルです。払い戻しは自動で行われるものではないので、必ず自分で申請する必要があります。
- 市区町村の担当窓口に相談まずは介護保険を利用している市区町村の担当窓口に連絡しましょう。
- 「自己負担額証明書」の取得市区町村から「介護保険の自己負担額証明書」を受け取ります。
- 医療保険の窓口に申請この証明書を持って、ご自身が加入している医療保険の窓口(健康保険組合、協会けんぽ、国保の窓口など)で申請手続きを行います。
- 審査と払い戻し医療保険側で審査が行われ、払い戻し額が決定します。
- 指定口座に振り込み決定した払い戻し額が、あなたの指定した口座に振り込まれます。
自己負担額証明書の交付は、毎年7月31日を基準日として、9月以降に送付されることが多いです。しかし、自治体によっては通知が来ない場合もあるため、「年間で医療費と介護費が結構かかっているな」と感じたら、積極的に自治体に問い合わせてみましょう。
介護に関する「もしも」の疑問解決Q&A
最後に、在宅介護でよくある「お金」に関する疑問に、専門家としてお答えします。
Q1. 毎月の高額療養費で十分戻ってきているのに、この制度も使うべき?
はい、ぜひ検討すべきです。月々の高額療養費や高額介護サービス費で払い戻しを受けていても、この制度の年間合算でさらに払い戻しを受けられる可能性があります。特に、毎月上限額に満たない程度の医療費・介護費がかかっているケースでは、この制度が大きな力を発揮します。
Q2. 病院や介護施設の費用以外に、対象になる費用はありますか?
残念ながら、すべての費用が対象になるわけではありません。例えば、在宅介護でよくかかる福祉用具のレンタル料や住宅改修費、食費や差額ベッド代などは、対象外です。また、健康保険が適用されない自由診療の費用(美容整形など)も対象外です。
Q3. 申請の期限はありますか?過去の分も遡って申請できる?
申請には時効があります。対象となる年の8月1日から起算して2年間です。例えば、2024年8月1日~2025年7月31日の期間の分は、2027年の7月31日まで申請が可能です。この期限を過ぎてしまうと、払い戻しを受ける権利が消滅してしまいます。過去2年分まで遡って申請できるので、心当たりのある方は、領収書などを確認して早めに申請しましょう。
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まとめ今日からできる3つの行動
この記事で得た知識を無駄にしないために、以下の3つの行動を今日から始めてみましょう。
- 領収書を保管する在宅介護では、通院や訪問診療など、多くの医療機関から領収書を受け取ります。これらをひとまとめにして保管しておきましょう。
- 世帯の医療保険を確認するご自身の世帯が「医療保険上の世帯」としてどこまで合算できるのか、家族構成や加入している保険の種類を改めて確認しましょう。
- 市区町村の窓口に問い合わせる特に、通知が届かなかったり、自分から申請する自信がない場合は、専門家である市区町村の担当窓口に相談するのが最も確実です。
在宅介護は、ご家族の負担が大きくなりがちです。しかし、知らないことで家計を圧迫してしまうのは、精神的にも負担が増えてしまいます。年間数十万円もの払い戻しを受けられるかもしれないこの制度を正しく理解し、賢く活用することで、あなたとご家族の生活を少しでも豊かにしてください。
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