在宅でご家族の介護をされている皆さん、毎日の歯磨きに苦労していませんか?「嫌がられて、なかなか磨かせてくれない」「口を開けてくれない」「歯磨きすると痛そうにされる」といったお悩みはありませんか?もしかしたら、「きちんと磨けているか不安だけど、どうすればいいかわからない…」と、どこにも相談できずにいるかもしれません。
歯磨きは、ただお口をきれいにするだけでなく、肺炎や心臓病などの全身疾患を予防するためにも非常に重要です。しかし、ご高齢になると唾液の分泌量が減ったり、歯並びが変わったりするため、若い頃と同じ方法ではうまく磨けません。この記事では、在宅介護における歯磨きの難しさを乗り越え、お口の健康を守るための具体的な方法と、プロが実践する知られざるコツを、わかりやすくご紹介します。
なぜ在宅介護での歯磨きは難しい?その根本的な原因を理解しよう

介護のイメージ
ご家族の歯磨きをしようとすると、嫌がったり、抵抗されたりすることがありますよね。これは単なるわがままではなく、ご本人が「嫌なこと」や「不快なこと」と感じているからかもしれません。
歯磨きを拒否する3つの理由
- 痛みや不快感があるから歯周病や虫歯、義歯が合っていないなど、お口の中に痛みの原因がある場合があります。また、歯ブラシの毛先が硬すぎたり、磨く力が強すぎると、それが不快感につながることもあります。
- 認知機能の低下によるもの歯磨きという行為自体が理解できなかったり、磨かれている状況がわからず不安になったりすることがあります。また、過去の辛い経験から拒否しているケースも考えられます。
- 口の周りの筋肉の衰えによるもの加齢とともに、唇や舌、頬の筋肉が衰え、口を開け続けることが難しくなります。長時間口を開けさせられることに苦痛を感じ、抵抗してしまうのです。
これらの原因を理解することで、無理に磨こうとするのではなく、ご本人の気持ちに寄り添ったアプローチができるようになります。大切なのは、「磨く」ことよりも「安心してもらう」ことだと覚えておいてください。
在宅介護で今すぐ実践できる!プロが教える歯磨きの7つの秘訣
ここからは、実際に介護現場で使われている、磨く側にも磨かれる側にも負担が少ない歯磨きの具体的なテクニックをご紹介します。
魔法の言葉と魔法の道具で歯磨きへの抵抗をなくす
歯磨きを始める前に、まず「これからお口をきれいにしましょうね」といった声かけをしてください。これは「歯磨きをします」という命令ではなく、「一緒にやろうね」という協力のメッセージになります。
また、鏡を見せながら「今日は奥歯からやってみようか」などと、ご本人の意識を歯磨きに向けるのも効果的です。
歯ブラシの選び方と持ち方を変えるだけで劇的に変わる
ご高齢の方のお口は、デリケートで乾燥しがちです。そのため、毛束が小さく、毛先が柔らかい歯ブラシを選びましょう。歯周ポケット(歯と歯茎のすき間)に入り込みやすく、歯茎を傷つけにくいタイプが理想的です。
持ち方には、「ペングリップ」と「パームグリップ」の2種類があります。
- ペングリップ鉛筆を持つように歯ブラシを握る方法です。細かい動きができ、力を入れすぎないで磨けるので、ご高齢の方のデリケートなお口には最適です。
- パームグリップ手のひらで歯ブラシ全体を握る方法です。ご本人が自分で磨く場合や、手が震える方、握力が弱い方には安定して持てるのでおすすめです。
歯磨きの姿勢とポジショニングの知られざる重要性
歯磨きをする場所は、洗面台である必要はありません。リビングの椅子やベッドの上など、ご本人が一番リラックスできる場所を選んでください。
姿勢は、椅子に座ってもらい、介護者が後ろから支えるように立つと、お互いに安定します。ベッドで磨く場合は、頭の下にクッションを入れ、少しだけ上半身を起こしてあげると、水を飲み込んでしまう心配が少なくなります。
歯磨きは「優しく・ゆっくり・小さく」が鉄則!
力を入れてゴシゴシ磨く必要はありません。歯ブラシの毛先を歯の面に優しく当て、小刻みに動かします。力の目安は100g〜200g程度。歯ブラシの毛先が広がるほど力を加えると、歯や歯茎を傷つけてしまいます。
また、歯と歯茎の境目や歯と歯の間は、特に磨き残しが多い場所です。これらの部分は、歯ブラシを45度の角度に傾けて丁寧に磨いてください。
歯磨き粉は「少量」を「目的に合わせて」使う
歯磨き粉は、泡が多すぎると磨けた気になってしまい、かえって磨き残しが増えることがあります。「え、これだけ?」と思うくらいの少量で十分です。
フッ素配合の歯磨き粉は、虫歯予防に効果的です。また、殺菌成分の入った歯磨き粉は、歯周病予防に役立ちます。ご本人のお口の状態に合わせて、適切なものを選びましょう。
仕上げ磨きにプラス!効果絶大な補助用具の活用術
歯ブラシだけでは届きにくい場所があります。以下の補助用具を併用することで、磨き残しを劇的に減らすことができます。
- 歯間ブラシ歯と歯の間の大きなすき間に使います。無理に差し込むと歯茎を傷つけるため、サイズは歯科医師や歯科衛生士に相談して選ぶのがベストです。
- デンタルフロス歯と歯の間の狭いすき間の歯垢をかき出します。歯周病予防には欠かせないアイテムです。
- タフトブラシ歯並びが悪い場所や、奥歯の裏側、部分入れ歯のバネの部分など、通常の歯ブラシでは届きにくい場所をピンポイントで磨くのに適しています。
義歯(入れ歯)のお手入れは9割が間違えている!
義歯は、外して洗うのが基本です。洗面器に水を張り、その上で洗うことで、もし落としても破損するのを防げます。
義歯専用のブラシと義歯洗浄剤を使い、義歯の汚れを丁寧に落とします。特に、歯茎に接する内側は、細菌が繁殖しやすいので念入りに磨きましょう。寝る前には、義歯洗浄剤を入れた水に一晩つけておくことで、より清潔な状態を保つことができます。
在宅介護の歯磨きに関する疑問解決Q&A
在宅介護の現場でよく聞かれる、具体的な質問にお答えします。
Q. 歯磨きを嫌がるので、結局マウスウォッシュだけで済ませてしまいます。大丈夫でしょうか?
A. マウスウォッシュだけでは不十分です。マウスウォッシュはあくまで補助的なものであり、歯ブラシや歯間ブラシによる物理的な汚れの除去には代えられません。歯周病菌や虫歯菌は、「バイオフィルム」というネバネバした膜の中に潜んでおり、うがいだけでは落とせません。歯ブラシでしっかり磨くことが、根本的な解決策となります。
Q. 電動歯ブラシは使わないほうがいいですか?
A. 使い方を間違えなければ、非常に効果的です。特に握力が弱くなった方や、細かい動きが苦手な方にとっては、手動歯ブラシよりも効率よく歯垢を除去できます。ただし、強く押し付けすぎると歯や歯茎を傷つける恐れがあります。正しい使い方を歯科医院で指導してもらうことをおすすめします。
Q. 歯磨きは毎日何回すればいいですか?
A. 最低でも1日1回は、丁寧な歯磨きの時間を作りましょう。理想は毎食後ですが、ご本人の状態や介護者の負担を考えると、毎日続けることが一番大切です。特に、寝る前の歯磨きは絶対に欠かさないでください。睡眠中は唾液の分泌量が減り、細菌が最も繁殖しやすくなるからです。
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まとめお口のケアは「全身の健康」につながる大切な習慣
在宅介護における歯磨きは、「口腔ケア」という大きな視点で捉えることが重要です。今回ご紹介した歯ブラシの選び方、持ち方、そして「優しく・ゆっくり・小さく」磨くコツを実践することで、ご本人も介護者もストレスなく、毎日の歯磨きを続けられるようになります。
そして何よりも、定期的に歯科医院を受診し、プロのケアと指導を受けることが大切です。専門家は、一人ひとりの状態に合ったアドバイスや、自分では気づきにくいお口の変化を見つけてくれます。お口の健康は、生きる意欲や全身の健康に直結します。ぜひ、この記事をきっかけに、今日から新しい歯磨きの習慣を始めてみてください。
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