「親のために良かれと思って選んだ施設なのに、なぜかうまくいかない…」「本人に話を聞いても、本音がわからない…」。そんな風に悩んでいませんか？
大切なご家族の新しい暮らしの場を探すとき、施設選びは本当に難しいものです。特に、入居者ご本人に直接話を聞く「入居者インタビュー」は、施設の真実を知るための貴重な機会。しかし、実はその「聞き方」を間違えると、表面的な情報しか得られず、後になって「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースが後を絶ちません。
この記事では、実際にケアハウスから新しい施設への引っ越しを経験されたA様ご一家のリアルな体験談を深掘りしながら、9割の人が知らない「入居者インタビューで絶対に後悔しないための3つの秘訣」を、現役の介護施設コンサルタントが徹底解説します。単なる施設紹介では決して得られない、本当に価値ある情報がここにあります。
老人ホーム選びの落とし穴！「コロナ禍」が浮き彫りにした親子のすれ違い
介護のイメージ
コロナ禍は、私たちの生活だけでなく、介護のあり方にも大きな変化をもたらしました。以前は当たり前だった面会や外出が制限され、多くの施設で入居者様とご家族の間に「コミュニケーションの断絶」が生まれました。
A様のおば様もその一人です。もともと活動的で、ご自身の姉であるA様のお母様が暮らす施設に毎週顔を出されていたほど社交的な方でした。しかし、ケアハウスに入居されてからの2年間、散歩もできず、ご家族との面会もままならない日々が続きました。
「介護度が上がった」その前に…見過ごされがちな心のサイン
コロナ禍の影響で「思うような生活ができない」と感じたおば様は、不満を募らせていきます。これは単なるわがままではありません。外出や社会的な交流が断たれることは、高齢者の身体機能や認知機能の低下を加速させる大きな要因となるのです。
実際、活動的な方が急に引きこもりがちになったり、以前より忘れっぽくなったり、物をなくすことが増えたり…こうしたサインは、認知症の初期症状である可能性もありますが、それ以上に、「環境の変化によるストレス」や「生きがいの喪失」を示していることも多いのです。A様のおば様が85歳で仕事を辞めた後、同じようなサインが見られたのは、まさに「生きがい」や「社会とのつながり」が失われたことによるものと考えられます。
成功する老人ホーム選びは「介護度」から「生活の質」へシフトする
施設選びを始めたA様がまず直面したのは、介護認定の「壁」でした。要介護1から要支援1に変わってしまい、再度認定を申請してようやく要介護1の認定が下りたというエピソードは、多くのご家族にとって他人事ではありません。
しかし、本当に重要なのは「介護度」だけでしょうか？ A様は「おばに合う、他の施設を探したい」と強く願っていました。これは、単に介護サービスを求めるだけでなく、おば様が「自分らしく、生きがいを持って暮らせる場所」を探していたからです。
知られざる入居者インタビューの「3つの秘訣」
このA様の経験から、私たちは老人ホームの入居者インタビューで本当に価値ある情報を引き出すための3つの秘訣を学びました。
- インタビューは「本人の意見」だけでなく「本人の感情」に焦点を当てる 「今の生活どうですか？」と聞いても、「大丈夫だよ」と返ってくるのがほとんどです。大切なのは、本人が「何に不満を感じていたか」ではなく、「何にワクワクするか」「どんなときに楽しいと感じるか」を深く掘り下げることです。A様のおば様が「こぢんまりとした施設で、イベントごともある」ことを気に入られたように、ご本人の趣味やこれまでの生活習慣に合う「プラスアルファの価値」を見つける質問が重要です。
- 「入居者」だけでなく「その家族」にも話を聞く A様は新しい施設で「家族会」に参加し、他のご家族と話す機会がありました。これは非常に重要なポイントです。入居者同士のコミュニケーションだけでなく、ご家族同士のつながりも施設の雰囲気やサポート体制を測る上で貴重な情報源となります。スタッフが語る「施設のアットホームさ」が本当かどうかは、そこで暮らす家族の声を聞くのが一番確実です。
- スタッフの「年齢」や「経験値」はあえて聞かない A様は新しい施設の職員さんについて、「若い方もいるけど、年齢が上の方が多い」と感じ、「おば自身も職員さんとお話がしやすいのかな」と推測していました。これは入居者様にとっての居心地の良さを考える上でとても大切な視点です。しかし、実は「職員の年齢構成」は、直接的な介護の質には関係ありません。本当に大切なのは、「職員さんの雰囲気」です。A様が「職員さんの雰囲気がとてもよかった」と語られたように、声かけの様子、入居者様への接し方、笑顔や言葉遣いなど、「その人自身の魅力」に目を向けるべきです。
介護に関する疑問解決よくある質問と専門家の回答
老人ホーム探しで誰もがぶつかる疑問について、元ケアマネージャーの視点から、より具体的なアドバイスをQ&A形式で提供します。
Q. 施設の種類が多すぎて、違いがわかりません。どうやって選べばいい？
A. まずは「ご本人がどんな生活をしたいか」を明確にしましょう。A様のおば様は「散歩」を生きがいにされていました。このように、「毎日続けたいこと」「趣味」「社会とのつながり」など、具体的なライフスタイルをイメージすることが大切です。その上で、相談センターやケアマネージャーに「〇〇をしたいのですが、どんな施設がありますか？」と聞いてみてください。そうすることで、表面的な施設の種類だけでなく、ご本人の「QOL（生活の質）」を向上させる施設が絞り込めます。
Q. 入居者本人が「引っ越ししたくない」と言ったらどうすればいい？
A. A様のおば様も引っ越し直前まで抵抗されました。これは、新しい環境への「不安」や「変化への恐怖」が原因です。無理に説得するのではなく、「今の感情に寄り添うこと」が何よりも重要です。「そうだよね、慣れ親しんだ場所から離れるのは寂しいよね」と共感の言葉をかけ、「もしも」を想像させるのが効果的です。「もし新しい施設に、同じように県外から来た人がいたら、お友達になれるかもね」「あなたの部屋から、どんな景色が見えるかな？」と、未来への期待を膨らませるように働きかけてみましょう。
Q. 家族が近くに住んでいないと、施設選びは不利になりますか？
A. 以前は「実家近くの施設」が主流でしたが、今はむしろA様のように「自分が通いやすい場所」に施設を選ぶご家族が増えています。入居者様の近くにいることで、「いつでも顔を出せる安心感」が生まれ、ご家族自身の心の負担も軽くなります。また、緊急時にもすぐに駆けつけられるため、結果的に入居者様にとっても大きなメリットとなります。
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まとめ後悔しない老人ホーム選びは「心」に寄り添うことから
A様は、最初の施設選びで「自由なケアハウス」という言葉に惹かれた一方で、新しい施設では「職員さんの雰囲気」や「イベント」といった「心」の部分を重視されました。その結果、入居直後は不安そうだったおば様も、少しずつ新しい環境に慣れ、他の入居者の方と交流できるようになりました。
老人ホーム選びは、単なる「設備」や「介護度」で決めるものではありません。ご本人の「心」が満たされ、生きがいを見つけられる場所であるかどうか。そして、ご家族が安心して「いつでも会える」と思える場所であるかどうか。この2つを大切にしてください。
後悔しない施設選びは、ご本人とご家族が「一緒に」、「新しい人生の選択肢」として捉えることから始まります。ぜひ、今回のインタビューの学びを活かして、あなたにとって最高の場所を見つけてください。
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