在宅で大切な方を看取る──それは、深い愛情に満ちた、かけがえのない時間です。しかし、その一方で、「もしもの時、どうすればいいんだろう…」「何から手をつければいいのかわからない」と、大きな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。在宅介護で看取りを経験した方の多くが、予期せぬ事態に直面し、戸惑いや後悔を感じています。この記事では、そんなあなたの不安を解消し、心穏やかにその時を迎えられるよう、在宅介護で亡くなった後に本当に必要な手続きや心構えを、9割の人が知らない具体的な情報を交えながら、一つひとつ丁寧に解説していきます。
もしもの時、何をすべき?逝去直後の「最初の2時間」にやるべきこと

介護のイメージ
突然の別れに直面したとき、誰もが冷静でいられるわけではありません。パニックに陥ることなく、落ち着いて対応できるよう、逝去が確認された直後からすべきことを具体的に見ていきましょう。
かかりつけ医への連絡が最優先。連絡が取れない場合はどうする?
自宅で亡くなった場合、最初にすべきはかかりつけ医、または訪問看護ステーションへの連絡です。在宅医療を受けていた場合、連携している医療チームが駆けつけてくれます。担当医が死亡確認を行い、死亡診断書を書いてくれるため、まずは速やかに連絡を入れましょう。
しかし、もし夜間や休日でかかりつけ医と連絡が取れない場合はどうすればいいのでしょうか。無理に待つ必要はありません。迷わず119番通報をして救急隊を呼んでください。「在宅介護中に、呼吸をしていない」と状況を伝えることで、救急隊が駆けつけてくれます。そして、警察の指示に従いましょう。自宅で亡くなった場合、事件性の有無を確認するため、警察による検視が行われることがあります。
このとき、慌てて遺体を動かしたり、衣服を着せ替えたりすることは絶対に避けてください。ご遺体の状況は、死因特定の手がかりになります。警察が到着するまで、そのままの状態で待つことが大切です。
葬儀社への連絡はいつ?事前に決めておくべき理由
死亡診断書(または警察からの死体検案書)を受け取ったら、次に葬儀社へ連絡します。この際、連絡先をすぐに調べられるように、事前にいくつかの候補を決めておくことが非常に重要です。
なぜなら、逝去直後はご遺体の「安置」が急務となるからです。ご遺体を安置するためには、ドライアイスの手配や専門的な処置が必要になります。また、葬儀社は死亡診断書の手続き代行や、その後の段取りをサポートしてくれます。この一連の流れをスムーズに進めるためには、事前に信頼できる葬儀社を選び、連絡先を控えておくことが何よりの安心材料になります。
「死亡診断書」から始まる、9つの必須手続きロードマップ
死亡診断書を受け取ったら、次に「死亡届の提出」や「火葬許可証の取得」など、公的な手続きが必要になります。これらは、親族が亡くなった後、法律上、そして社会生活を送る上で避けて通れない重要なステップです。ここでは、これらの手続きを一つにまとめ、あなたが迷わないためのロードマップを提示します。
- 死亡届の提出と火葬許可証の取得死亡診断書と一体になっている死亡届を、亡くなったことを知った日から7日以内に市区町村の役場に提出します。この手続きをすることで、火葬許可証が発行されます。
- 年金受給停止の手続き故人が年金を受給していた場合、死亡後速やかに手続きが必要です。日本年金機構または年金事務所に、死亡日から14日以内に「受給権者死亡届」を提出します。
- 健康保険証の返却国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、死亡日から14日以内に市区町村の役場へ保険証を返却します。
- 介護保険証の返却介護保険サービスを利用していた場合、死亡日から14日以内に市区町村の介護保険担当窓口へ保険証を返却します。
- 世帯主変更届の提出故人が世帯主であった場合、死亡日から14日以内に世帯主変更届を提出します。
- 住民票の抹消死亡届が提出されると、住民票は自動的に抹消されます。
- 電気・ガス・水道の契約変更・解約故人名義の契約を、必要に応じて変更または解約します。
- 携帯電話・インターネットなどの解約故人名義の携帯電話やインターネット回線などを解約します。
- クレジットカード・銀行口座の凍結・解約不正利用を防ぐため、速やかにカード会社や金融機関に連絡し、口座を凍結してもらいます。その後、遺産分割協議を経て解約手続きを進めます。
これらの手続きは、原則として遺族が自分で行う必要があります。しかし、葬儀社によっては、死亡届の提出代行サービスを提供しているところもあります。遺族の負担を少しでも減らすために、こうしたサービスを積極的に利用することも賢い選択です。
在宅介護で亡くなった後、絶対に知っておくべき3つの意外な落とし穴
多くの人が見落としがちな、在宅介護で看取った後の3つの注意点について深掘りします。これらの知識があるかないかで、その後の遺族の負担や心の持ちようは大きく変わってきます。
落とし穴1遺品整理のタイミングと専門業者選びの重要性
「遺品整理はいつから始めればいいの?」という疑問をよく耳にします。結論から言うと、故人の四十九日法要が終わってから着手するのが一般的です。遺品は故人の生きた証であり、心の整理をつけるためにも、焦ってすべてを処分しないことが大切です。
しかし、大型家具や家電など、遺族だけでは片付けが難しいものも多いでしょう。そんな時は、専門の遺品整理業者を利用することを検討してください。ただ単にモノを片付けるだけでなく、故人の想いやプライバシーに配慮した丁寧な作業をしてくれます。業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、料金体系や作業内容、故人への配慮などを事前に確認することが重要です。
落とし穴2介護サービス終了後の手続きと費用の精算
在宅介護サービスを利用していた場合、故人が亡くなった後、ケアマネジャーや各サービス事業所への連絡が必要です。連絡を怠ると、予期せぬ費用が発生する可能性があります。
例えば、訪問看護や訪問介護のサービスは、死亡が確認された時点で終了となりますが、契約内容によっては日割り計算やキャンセル料が発生する場合もあります。また、介護ベッドや車椅子などの福祉用具をレンタルしていた場合は、速やかに事業所に連絡し、引き取りに来てもらいましょう。これらの手続きをスムーズに行うためにも、日頃からケアマネジャーと密なコミュニケーションを取っておくことが大切です。
落とし穴3相続トラブルを未然に防ぐ「エンディングノート」の価値
相続は、家族間の関係を壊す最大の原因の一つです。故人が遺言書を残していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。しかし、どこに何があるか、どれくらいの財産があるのかを把握していなければ、話し合いは困難を極めます。
そこで有効なのが、故人が生前に作成する「エンディングノート」です。エンディングノートには、預貯金や不動産、保険証券といった財産情報だけでなく、お葬式の希望や友人・知人の連絡先、伝えたいメッセージなどを記すことができます。
エンディングノートは、法的な効力はありませんが、遺族が故人の意思を尊重し、円滑な手続きを進めるための重要な手助けとなります。在宅介護中、故人との会話の中で少しずつエンディングノートを書いてもらうよう提案してみましょう。それは、最期まで尊厳を持って生きるための貴重な時間にもなります。
在宅介護の疑問解決Q&A後悔しない看取りのために
在宅介護で看取りを検討している方、そしてすでにその過程にいる方からよく聞かれる質問に、プロの視点からお答えします。
Q. 介護のプロに任せるべきこと、家族で担うべきことの境界線は?
A. 介護のプロは、医療的処置や専門的な身体介護、そして情報提供を担います。例えば、点滴や褥瘡(じょくそう)の処置、食事の補助などは専門知識が必要なため、プロに任せるべきです。一方、精神的な支えや、一緒にいる時間を大切にすることは、家族にしかできないことです。故人の好きな音楽を流したり、昔の思い出話に花を咲かせたり、温かい手で手を握ったりする時間は、プロの介入を必要としません。「介護はプロ、看取りは家族」という線引きを意識することで、後悔のない看取りにつながります。
Q. 自宅で亡くなった場合、検視は必ず行われるの?
A. 必ずしもすべてのケースで検視が行われるわけではありません。在宅医療を受けており、かかりつけ医が日頃から診療を続けていた場合、医師が死因に問題がないと判断すれば、通常通り死亡診断書が発行されます。しかし、医師が診察しておらず、死亡原因が不明な場合や、事故や事件の疑いがある場合は、警察による検視が行われます。
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まとめ後悔のない看取り、そして自分自身の人生のために
在宅介護は、愛する人との最期を自宅で過ごせる、素晴らしい選択です。しかし、そこには看取りという大きな山、そしてその後に待ち受けるさまざまな手続きという谷があります。
この記事で解説した「逝去直後の2時間」の対応や「9つの必須手続き」、そして「3つの意外な落とし穴」を事前に知っておくことで、あなたはきっと慌てず、そして後悔することなく、大切な方と向き合うことができるはずです。
在宅介護を頑張っているあなたは、すでに十分素晴らしいです。どうか自分自身を責めず、必要な時には専門家の力を借り、このかけがえのない時間を大切にしてください。そして、大切な方を見送った後は、ご自身の人生を穏やかに、そして前向きに歩んでいくための準備を始めてください。
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