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高齢者がいすからずり落ちる!危険を防ぐ7つの対策と原因チェック完全ガイド

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「座らせたはずなのに、気づくとお尻が前へずれている」「背中を直しても、数分後にはまた浅く座っている」「このまま転落したらどうしよう」。そんな不安を抱えて、このページにたどり着いた方も多いはずです。高齢の方がいすからずり落ちる問題は、ただの座り方のクセではありません。骨盤の倒れ込み足底が床につかない環境円背や筋力低下合わないクッション体調変化が重なると、本人の努力だけでは止められないことが少なくありません。しかも、前へ滑る姿勢が続くと、転倒や転落だけでなく、呼吸のしづらさ、食事姿勢の崩れ、疲労、褥瘡リスクの上昇にもつながります。厚生労働省のシーティング手引きでも、まずは基本的な座位姿勢の理解と、状態に応じた調整の重要性が示されています。
この記事では、ありがちな「滑るからベルトで止める」という発想ではなく、なぜ滑るのかを見抜き、体と環境を一緒に整える考え方で、家庭でも介護現場でも実践しやすい対策に落とし込みます。なお、介護保険の解説や厚労省の手引きでは、ずり落ち防止を目的にしたY字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルの使用は身体拘束にあたる原則禁止の行為として扱われています。だからこそ、対策は「止める」よりも「滑らない座位をつくる」が正解です。介護検索+2厚生労働省+2

ここがポイント!

  • ずり落ちは、本人の不注意ではなく、姿勢と環境のミスマッチで起こりやすい問題です。
  • 最優先は、骨盤、足台、座面、背もたれ、衣類、体調変化を順番に見直すことです。
  • ベルトで固定する前に、身体拘束に当たらない調整と専門職への相談ラインを知ることが大切です。

なぜ、高齢の方はいすから前へ滑ってしまうのか?

介護のイメージ

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高齢の方が前へ滑る場面をよく見ると、ほとんどは「座面の上でお尻だけが前へ動いた」のではなく、骨盤が後ろへ倒れ、背中が丸まり、頭の重さを支えきれずに体幹全体が前へ崩れている状態です。いわゆるずれ座りです。最初はわずかな浅座りでも、数分たつとお尻が前へ進み、背中は背もたれから離れ、足は踏ん張れず、さらに滑る。この悪循環が起こります。座位保持の低下や体の傾きは、転倒しやすさ、呼吸のしづらさ、誤嚥リスクの上昇にもつながるとされており、軽く見ないことが重要です。
原因はひとつではありません。たとえば、いすが高すぎて足裏が床にしっかりつかないと、体を支える土台がなくなります。逆に、座面が深すぎると背もたれまでお尻を入れられず、浅く座るしかなくなります。円背が強い方は、一般的ないすの背もたれが体のカーブに合わず、背中を預けにくくなります。筋力低下や疲労が強い方は、座っていること自体が思った以上にしんどく、時間とともに崩れます。さらに、滑りやすい衣類、防水シートやビニール、合わないクッションも、ずり落ちを強める典型例です。テクノエイド協会のヒヤリハットでも、車いす用クッションの前後を誤って設置したことで滑り落ちそうになった事例や、ビニールで覆ったために滑りやすくなった事例が示されています。テクノエイド+1

まず確認したい!ずり落ちを招く5つの見逃しポイント

「何を直せばいいのかわからない」というときは、いきなり福祉用具を買い足すより、次の順番で見ていくと原因が絞れます。ここを飛ばすと、道具を替えても改善しにくいです。

  1. お尻を座面の奥まで入れたとき、足裏が床か足台にしっかりつくかを確認します。
  2. 膝裏が座面前縁に強く当たりすぎていないか、座面が深すぎないかを確認します。
  3. 骨盤が後ろへ寝ていないか、背中が丸まりすぎていないかを横から見て確認します。
  4. 座面に防水シート、つるつるした衣類、へたったクッションがないかを確認します。
  5. 最近になって急に滑るようになったなら、痛み、眠気、発熱、麻痺、体力低下など体調変化を確認します。

ここで大事なのは、本人を責めないことです。「ちゃんと座って」「深く座って」と声をかけても、その姿勢を保つ力や条件がなければ長続きしません。必要なのは気合いではなく、座れる条件づくりです。

危険を防ぐ7つの対策

1.足がつく高さに合わせる

最初に見直すべきは、いすの高さです。足裏が床や足台にしっかりつくと、体を下から支えられます。反対に、足がぶらついた状態では、お尻が前へ逃げやすくなります。家庭のいすなら、低すぎる机や高すぎるダイニングチェアをそのまま使わず、足底接地を優先してください。車いすなら、フットサポートの高さ調整や足台の位置確認が基本です。厚労省の福祉用具選定基準でも、不良な座位姿勢が起こりやすい場合には、クッション利用時を含めてアームサポートの高さや体に合った車いす選定・調整が重要とされています。

2.深く座れない座面の深さを直す

座面が深すぎると、お尻を奥まで入れられず、浅く座るしかありません。すると、骨盤が後傾しやすくなり、背中が丸まり、ずり落ちの入り口ができます。膝裏に余裕がほとんどない、もしくは背もたれまで届かないなら、背側にクッションを入れて座面の実質的な深さを浅くする工夫が有効です。ただし、単に柔らかいクッションを足すだけだと、沈み込みで余計に崩れることがあります。沈みすぎない素材と位置が重要です。

3.骨盤を起こしやすい座面をつくる

ずり落ち対策の核心は、骨盤です。骨盤が後ろへ寝ると、その上に乗る背骨も丸まりやすく、体は前へ滑っていきます。だから、対策は「背中を無理に伸ばす」よりも、骨盤が起きやすい座面環境をつくることが先です。へたりきった座布団や柔らかすぎるクッションは、座った瞬間は楽でも、長く座るほど崩れます。近年の国内製品でも、「姿勢の安定性」や「姿勢崩れ対策」を強く打ち出す車いす用クッションが増えており、対策の中心が固定からシーティング調整へ移っていることがわかります。直近では、2026年3月に国内で、床ずれ対策と姿勢崩れ対策を追求した車いす用クッションの新製品情報も出ています。

4.背中を支える場所を変える

円背が強い方は、一般的な背もたれが合わないことが多いです。背中の上だけが当たり、腰や骨盤まわりが支えられないと、体は前へ逃げます。この場合は、背中全体を押しつけるのではなく、体のカーブに合わせて支える位置を調整するのがポイントです。腰が痛い、首が前へ出る、あごが上がる、座るとすぐ疲れるといったサインがあるなら、背中側の支え方を見直してください。シーティングの手引きでも、円背や片麻痺など状態に応じて柔軟に対応する必要性が示されています。

5.滑りやすい環境をやめる

見落とされやすいのが、摩擦の問題です。ナイロン系のつるつるしたズボン、ビニール製の防水カバー、前後を誤ったクッションカバー、へたりきった座面は、滑りを加速させます。汚れ対策のつもりで敷いたものが、実はずり落ちの原因になっていることは珍しくありません。テクノエイド協会の事例でも、ビニールで覆ったことで滑りやすくなったケースが紹介されています。清潔さと滑りにくさの両立が必要です。汚れが気になるときは、滑りやすい素材を重ねるのではなく、介護用として設計されたカバーやクッションの選択を考えましょう。

6.食事と覚醒の時間帯をずらす

朝は比較的保てても、午後になると崩れる。食後に急にずり落ちる。こうしたケースでは、座位そのものより、疲労や眠気、薬の影響、食後のだるさが関わっていることがあります。姿勢が崩れたまま食事をすると、呼吸や嚥下にも悪影響が出やすくなります。座位のメリットとして、食事が視界に入りやすく、嚥下反射が起こりやすい傾向が示される一方、円背や前傾が強いと誤嚥リスクが問題になります。食事前だけでも座り直しを行い、疲れやすい時間は長時間座位を避けるなど、時間帯の設計も有効です。

7.道具で止める前に、専門職へつなぐ

何度直してもすぐ滑る、片側だけへ崩れる、むせが増えた、痛みが強い、立ち上がりや移乗も不安定。こうした場合は、自己流で何とかしようとせず、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、理学療法士、作業療法士、看護師、主治医へつないでください。厚労省の選定基準でも、不良な座位姿勢となりやすい場合は医師やリハ専門職などへ意見を求めることが望ましい例とされています。本人の体に合う車いすやクッションは、見た目だけでは判断しづらいからです。

やってはいけない対策

ずり落ち対策でやってしまいがちなのが、「とにかく固定する」方向へ進むことです。しかし、ずり落ちを防ぐためにY字型拘束帯、腰ベルト、車いすテーブルなどを使うことは、身体拘束に該当する原則禁止の行為とされています。本人の安全を思っての行為でも、自由を奪い、かえって危険を増やすことがあります。
避けたいのは次のような対応です。

ここがポイント!

  • 滑るたびに強く引き上げるだけで、原因の確認をしない対応です。
  • 柔らかい座布団を何枚も重ねて、沈み込みを増やしてしまう対応です。
  • 本人の力で動けるのに、ベルトやテーブルで動きを封じてしまう対応です。

事故対策のガイドラインでも、介護施設は生活の場であり、事故を防ぐために日常の行動を制限することは自立支援につながらないと示されています。転倒や転落をゼロにする発想ではなく、本人らしい生活を守りながら、リスクを下げる視点が大切です。厚生労働省

こんな変化があれば、環境より先に体調を疑う

昨日まで何とか座れていたのに、今日だけ急にずり落ちる。いつもより片側へ傾く。ぼんやりして座っていられない。痛がってお尻をずらす。こうした変化は、いすの問題だけではないかもしれません。脱水、感染、便秘、眠気を起こす薬、痛み、片麻痺の悪化、骨折、体力低下などが背景にあることがあります。特に、急な変化は要注意です。
次のような場合は、早めに相談してください。

ここがポイント!

  • 急に傾きやずり落ちが強くなり、片側だけへ崩れるようになったときです。
  • 発熱、強い眠気、食欲低下、むせの増加、呼吸のしづらさがあるときです。
  • 座ると強い痛みがある、立ち上がりや移乗が急に難しくなったときです。

介護現場で本当に差が出る観察の順番

介護のイメージ

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ずり落ちを防ぐ話になると、つい「どのクッションがいいか」「どのいすがいいか」に意識が向きます。もちろん道具は大事です。でも、現場で本当に差が出るのは、道具を買う前の観察の質です。ここが甘いと、良い物を入れても結果がぶれます。逆に、観察がそろうと、今ある環境だけでもかなり変わることがあります。
介護の現場でありがちなのは、朝のスタッフは「今日は安定している」と感じ、午後のスタッフは「今日は危ない」と感じることです。これは誰かが間違っているわけではなく、見ている時間帯が違うからです。高齢の方の座位は、時間、疲労、眠気、排泄状況、食後の状態、薬の効き方で大きく変わります。だから、観察は一回だけでは足りません。大切なのは、いつ、どこで、何分くらいすると崩れるのかまでセットで見ることです。
たとえば、移乗してすぐは大丈夫なのに、十分後からお尻が前へ出る方がいます。この場合は、最初の座り方だけでなく、保持する力が続いているかが問題です。逆に、座った瞬間から浅くなる方は、そもそもいすや車いすの条件が合っていないことが多いです。さらに、食事中だけ首が前へ落ちる人、テレビを見ていると片側に傾く人、トイレを我慢しているとソワソワして前へずれる人もいます。ずり落ち問題は、姿勢だけでなく生活場面とセットで見ると、急に答えが見えやすくなります。
現場で役立つのは、「座れているか」ではなく「何をしているときに崩れるか」で記録することです。座る、食べる、話す、待つ、眠くなる、トイレへ行きたがる。この動きの中で崩れ方が違えば、対策も変わります。だから、観察は静止画ではなく動画の発想で考えると失敗しにくいです。

家族介護で起こりやすい、やさしさゆえの逆効果

在宅介護では、家族のやさしさが、気づかないうちにずり落ちを招いていることがあります。これは責める話ではなく、よくあることです。むしろ、一生懸命やっているからこそ起こります。
代表的なのが、「痛そうだから」と柔らかい座布団を重ねることです。ふかふかして気持ちよさそうに見えますし、硬いいすにそのまま座らせるより親切に思えます。でも、柔らかすぎる座面は、骨盤が安定しにくく、体が沈んで抜け出しにくくなります。その結果、座り直すたびにお尻が前へ逃げて、本人も家族も疲れます。家族としては楽にしてあげたいだけなのに、実際には楽そうで長くはもたない座り方になってしまうわけです。
もうひとつ多いのが、「寒そうだから」と厚手の上着やつるっとした素材の防寒着を着たまま座ることです。冬場は特に起こりやすいです。座るときだけ上着を少し整える、背中のしわを伸ばす、お尻の下に服がたまらないようにする。これだけで違うことがあります。大げさな対策ではなく、服のしわを取る深く座った瞬間をつくる足元を安定させる。こういう小さな一手が、在宅では案外効きます。
それから、家族介護では「本人が嫌がるから、もういいか」となりやすい場面もあります。たしかに、何度も座り直しをされるのは嫌な方が多いです。でも、本当に嫌なのは座り直しそのものではなく、雑に扱われる感覚何のためにされるかわからない不安であることが少なくありません。「危ないからちゃんとして」では伝わりません。「今のままだとお尻が痛くなりやすいから、楽に座れるように少しだけ直すね」と、一言の説明が入るだけで受け止め方は変わります。介護は技術だけでなく、声かけの質でも結果が変わります。

座り直しを嫌がる人への関わり方

「直そうとすると怒る」「触ると体をこわばらせる」「すぐ元の姿勢に戻ってしまう」。これは現場でも家庭でも、本当によくある悩みです。ここで無理に正そうとすると、介助者も本人も消耗します。だからこそ、姿勢調整を単なる修正作業にしないことが大切です。
まず知っておきたいのは、ずり落ちる人の中には、本人なりの理由があってその姿勢になっているケースがあることです。たとえば、腰や股関節が痛い、背中が突っ張る、片側に力が入りづらい、眠くて起きていられない、視線を合わせやすい方向に向きたい。つまり、崩れた姿勢は「悪い姿勢」である前に、今の体で何とか楽を取ろうとしている結果でもあります。そこを無視して、見た目だけを整えても長続きしません。
こんなときに有効なのは、いきなり全部を直さないことです。たとえば、お尻を奥まで入れる、足をそろえる、背中を合わせる、頭を起こす。この四つを一度にやると、本人はしんどいです。だから、最初は一つだけでいいです。多くの方は、足元が安定すると、その次の修正を受け入れやすくなります。足がつくと、人は安心しやすいからです。その次に骨盤、その次に背中という順に、少しずつ整えると拒否が減ります。
現場で実感しやすいのは、介助のスピードが速いほど拒否が増えることです。忙しい時間帯ほど起こります。本人は何をされるかわからないまま体を動かされるので、防御反応が出ます。逆に、手を入れる前に「右のお尻だけ少し後ろへいきますね」と予告すると、力みが抜けやすいです。介護の技術は、力より順番です。順番は、本人の安心をつくる順番でもあります。

食事、排泄、入浴前後で崩れ方が変わる理由

ずり落ちは、じっとしているときだけ起こるわけではありません。むしろ、生活の流れの中で起こり方が変わります。ここを理解していると、「なぜ今日はうまくいかないのか」が見えやすくなります。
食事前後で違いが出る方は多いです。食前は空腹で落ち着かず、前へ乗り出しやすいことがあります。食後は眠気や疲労で姿勢が崩れやすくなります。さらに、食事姿勢が悪いまま続くと、食べること自体に時間がかかり、疲れて余計に崩れるという流れもあります。つまり、ずり落ちは食事の邪魔をするだけでなく、食事でさらに悪化することもあるのです。
排泄前にソワソワして前へずれる方もいます。このとき、「落ち着きがない」とだけ見ると対策を外します。本当は尿意や便意、あるいはトイレの不安が背景にあるかもしれません。特に認知症のある方は、言葉で説明できず、体の動きとして出ることがあります。こういう場面では、姿勢だけ直しても解決しません。排泄リズムやトイレ誘導の見直しが必要です。
入浴前後も意外な盲点です。入浴前は疲れている、入浴後はさっぱりするけれど全身がだるい。どちらもありえます。午後のレクリエーション後や面会後に崩れる人もいます。一見すると関係なさそうな出来事が、姿勢保持に影響しているわけです。だから、ずり落ちを減らしたいなら、姿勢だけを見ずに一日の流れ全体を見ることが大切です。

場面 起こりやすいこと 考えたいこと
食事前後 前のめり、眠気、疲労で崩れやすいです。 食前の座り直し、食後の休息、食事時間の長さを見直します。
排泄前 そわそわして浅く座りやすいです。 尿意便意の訴え、誘導のタイミング、落ち着かなさの意味を考えます。
入浴後 だるさで姿勢保持が続きにくいです。 長時間座位を避け、休息をはさむ工夫をします。
午後後半 体幹の保持力が落ち、いつもより崩れやすいです。 活動量、昼食後の眠気、服薬の影響を確認します。

介護記録にこう書けると、次のケアが変わる

介護の記録でありがちなのが、「ずり落ちあり」「姿勢不良」「再度座り直し実施」という書き方です。これでは事実は残りますが、次にどうすればいいかまでは見えてきません。現場を前へ進める記録にするなら、状態だけでなく条件を書くことが大切です。
たとえば、「昼食後二十分で骨盤後傾が強くなり、お尻が座面前方へ移動」「フットサポートに足底接地しているときは安定するが、片足が外れると左へ傾く」「排泄前の落ち着かなさがある時間帯に浅座りが増える」。こう記録できると、次のスタッフは、何が引き金かを踏まえてケアできます。介護記録は、出来事の報告書ではなく、再現性のあるケアの引き継ぎです。
さらに、良かったときの条件も書くと強いです。「午後は居室の肘掛けいすのほうが安定」「クッション交換後よりも、背中側にタオルを一枚調整したほうが安定」「食前にトイレ誘導をすると食事中のずれが減る」。これが書けると、現場のケアは一気に具体的になります。うまくいかなかったことだけでなく、うまくいった条件を言語化する。これが現場力です。

福祉用具の相談で、これを伝えないと話がずれる

福祉用具の相談は、用具の知識だけで決まりません。相談の質は、利用者情報の出し方でかなり変わります。よくあるのは、「ずり落ちるので何かありませんか」とだけ伝えてしまうことです。これだと、相談先も一般論で返すしかありません。もったいないです。
相談時に伝えたいのは、まずいつ崩れるかです。移乗直後なのか、十分後なのか、食後なのか、午後なのか。次にどちらへ崩れるかです。前なのか、右なのか、左なのか。さらに、今使っているいすや車いすの条件身長や体格円背や片麻痺の有無痛みの有無食事や移乗にどれくらい影響しているかまで伝えると、話が具体的になります。
相談をうまく進めたいなら、スマートフォンで短い動画を残しておくのも有効です。座った直後、十分後、食後。この三つがあるだけで、言葉だけでは伝わらない崩れ方が見えます。もちろん、施設ではルールや同意が必要ですが、家庭ではかなり役立ちます。介護は「見た感じ」が重要な場面が多いので、言葉だけで説明しようとすると限界があります。

ずり落ち対策と、実はつながっている別の問題

このテーマは、転落予防だけの話ではありません。実際には、他の介護課題と強くつながっています。ここに気づくと、対策の視野が広がります。
ひとつは、褥瘡です。お尻がずれている状態は、摩擦やずれの力がかかりやすく、皮膚トラブルの引き金になります。特に、長時間同じ姿勢で過ごす方は、座位時間そのものの見直しも必要です。「座っていられる」ことと「座らせ続けてよい」ことは別です。座れていても、座り続けることで皮膚や痛みの問題が増えることがあります。
もうひとつは、活動性の低下です。ずり落ちるから危ない、危ないから座らせない、座らせないから筋力が落ちる、さらに座れなくなる。この流れは現場で本当によく見ます。もちろん安全は大事です。でも、危ないから何もさせない方向へ行くと、生活の力は落ちます。だから、必要なのは全面禁止ではなく、できる条件を探すことです。短時間なら安定するのか、食後は休むが午前は座れるのか、いすを変えると会話が続くのか。安全と生活を両立させる視点が欠かせません。
さらに、介護者の腰痛にもつながります。ずり落ちるたびに引き上げる介助が増えると、介護する側の体への負担が大きくなります。つまり、ずり落ち対策は利用者の安全だけでなく、介護者を守ることにもなります。現場では、この視点を持っているチームほど対策が長続きします。

本人の気持ちを置き去りにしないための聞き方

ずり落ち対策がうまくいかないとき、意外と抜けやすいのが本人の感覚です。言葉でうまく説明できない方でも、聞き方を工夫するとヒントが出ることがあります。
「苦しいですか」だけでは、はいかいいえで終わります。そこで、「どこが一番しんどいですか」「このいすだと長く座れますか」「食べるときとテレビを見るとき、どちらが楽ですか」と、場面と体の感覚を分けて聞くと反応が変わることがあります。認知症がある方でも、「この座り方、落ち着く?それともいや?」のように短く聞くと、表情や手の動き、体の向け方から答えが見えることがあります。
本人の言葉が少ないからといって、感覚がないわけではありません。むしろ、言葉にできない不快感が、拒否や落ち着かなさとして出ることがあります。だから、介護では「説明できないからわからない」と決めつけないことが大事です。本人の体は、案外正直です。

個人的にはこうしたほうがいいと思う!

個人的には、ずり落ち対策って、道具選びの話で終わらせないほうがいいと思います。ぶっちゃけ、介護の本質って「危ない形を無理やり止めること」じゃなくて、その人が無理しなくても過ごせる形をつくることなんですよね。現場では、滑るたびに直す、また滑る、また直す、で一日が終わることがあります。でも、それって本人もしんどいし、介助者も消耗するし、結局だれも楽になっていません。
本当に必要なのは、「この人はなぜこの姿勢になるのか」をちゃんと見ることだと思います。痛いのか、疲れるのか、眠いのか、足が届かないのか、背中が合わないのか、落ち着かない理由があるのか。そこを見ないまま整えても、見た目はきれいでも続きません。逆に、理由に届くと、派手な道具がなくても変わることがあります。だから、現場の介護では、姿勢を正す前に暮らしの流れと本人の感覚を読む力が必要なんだと思います。
それともうひとつ、介護って正解を押しつけると急にうまくいかなくなります。本人にとって楽な座り方と、介助者から見て安全そうな座り方が、いつも一致するわけではありません。だからこそ、「安全だからこれでいい」ではなく、「どうしたら安全と楽さを両立できるか」を考え続けるのが大事です。ここをあきらめないチームや家族は、最終的に強いです。
結局のところ、ずり落ち対策で一番価値があるのは、クッションの名前を知ることより、その人の崩れ方に意味を見つけられることです。そこまで見られるようになると、介護は作業から支援に変わりますし、本人の表情まで変わってきます。個人的には、そこを押さえたほうが、ぶっちゃけ介護の本質をついてるし、現場の介護では必要なことだと思うんです。

高齢者がいすからずり落ちる対策に関する疑問解決

クッションを買えば、すぐ解決しますか?

クッションは有効ですが、合えば有効、合わなければ逆効果です。前後がある製品を逆に使えば滑りやすくなることもありますし、へたりや空気圧不足でも安定しません。まずは足底接地、座面の深さ、背もたれ、衣類やシートの滑りやすさを確認し、そのうえで選ぶのが失敗しにくい流れです。

背中が丸い方でも、深く座らせたほうがいいですか?

基本は深く座る方向ですが、無理に押し込むのは逆効果です。円背が強い方は、一般的な背もたれが合わず、深く座るほど苦しくなることがあります。大切なのは、その人の背中の形に合う支えをつくることです。深く座ることだけを目標にせず、楽に保てる姿勢を探してください。

食事中に前へ滑るのですが、どうすればいいですか?

食前に座り直し、足底を安定させ、骨盤が後ろへ倒れすぎないように調整するのが基本です。食後や眠い時間帯は崩れやすいので、時間帯の見直しも効果があります。あごが上がる、むせる、疲れて食べきれない場合は、嚥下や姿勢の専門職に相談したほうが安全です。

家庭の普通のいすでも対策できますか?

できます。ただし、ダイニングチェアをそのまま使うより、足がつく高さ座面が深すぎないこと滑りにくい座面背中を支えられることがそろっているかを見てください。小さな調整で改善する方も多いです。

介護現場で、何から始めるのが最短ですか?

最短は、座り直し→足底→座面→背もたれ→衣類とクッション→体調確認の順です。いきなり用具変更に飛ぶより、この順番で見たほうが原因を外しにくく、再現性も高いです。現場で共有しやすいよう、観察ポイントを短い言葉でそろえておくと、スタッフ間のズレも減ります。

まとめ

高齢の方がいすからずり落ちる問題は、見た目以上に奥が深いです。原因は「座り方が悪い」ではなく、体の変化と環境のズレにあります。だから、対策も「固定する」ではなく、滑らなくて当然の条件を整えることが中心になります。足がつく高さにする。座面の深さを合わせる。骨盤が起きやすい座面をつくる。背中の支え方を変える。滑りやすい素材をやめる。体調変化を見逃さない。この順番で整えるだけでも、ずり落ちはかなり変わります。
そして、何度直しても改善しないときは、本人の努力不足ではありません。そこは、専門職につなぐサインです。今日できる最初の一歩は、いすに座った姿を横から見て、足裏がついているか、お尻が奥まで入っているか、骨盤が倒れていないかを確認することです。そこから始めれば、転落予防だけでなく、呼吸、食事、疲れにくさ、過ごしやすさまで変わっていきます。

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