訪問介護事業所の経営者や介護職員の皆さん、最近「経営が厳しくなった」と感じていませんか?多くの方が2024年度の介護報酬改定による基本報酬の引き下げが原因だと考えていますが、実はそれは大きな誤解なのです。社会保障審議会の最新調査で明らかになった衝撃的な事実をご存知でしょうか。本記事では、介護保険改正2024年度版における訪問介護の真の課題と、あなたの事業所が生き残るための具体的な対策を徹底解説します。この記事を読むことで、業界の9割が気づいていない経営悪化の本当の原因を理解し、今日から実践できる改善策を手に入れることができます。
介護保険改正2024で訪問介護に何が起きているのか

介護のイメージ
2024年4月に実施された介護報酬改定を境に、訪問介護業界に大きな変化が訪れています。多くの事業所が経営の悪化を実感しており、特に2023年8月から2024年8月にかけての変化は顕著です。
社会保障審議会・介護給付費分科会の研究委員会が2025年3月31日に発表した調査結果によると、訪問介護事業所の経営状況は予想以上に深刻化していることが判明しました。都市部でも地方でも、赤字に転落する事業所が増加傾向にあり、業界全体が厳しい局面を迎えています。
しかし、ここで重要なのは「なぜ経営が悪化しているのか」という点です。多くの関係者が基本報酬の引き下げを主な原因だと考えていますが、調査データが示す真実は全く異なるものでした。実は、訪問介護のサービス単価は上昇しているのです。この事実は、業界の常識を覆す発見として大きな注目を集めています。
介護報酬改定の概要と業界への影響
2024年度の介護報酬改定では、全体としてプラス1.59%の改定率となり、介護職員の処遇改善が重点的に推進されました。特に介護職員等処遇改善加算が一本化され、訪問介護では加算率が2.1%引き上げられるなど、人材確保に向けた取り組みが強化されています。
また、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取り組みも推進され、約7割の介護保険施設がこれらを評価する加算を算定しています。医療機関と介護施設の連携強化も重要なテーマとなり、協力医療機関との実効性のある連携体制の構築が求められるようになりました。
訪問介護の経営悪化の本当の原因
ここからが本題です。訪問介護事業所の収益構造を理解すると、経営悪化の真因が見えてきます。収益は「サービス単価×利用者数」というシンプルな計算式で表されます。では、この2つの要素はどう変化しているのでしょうか。
調査結果が示す驚くべき事実は、サービス単価は実際に上昇しているということです。これは一体どういうことでしょうか。単価上昇の背景には、各種加算の取得が進んでいることに加え、より身体介護が必要な利用者へのサービス提供が増加していることが挙げられます。
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課の吉田慎課長は、介護職員等処遇改善加算や口腔連携強化加算などの取得促進が単価上昇に寄与していると分析しています。つまり、基本報酬が下がっても、加算の充実により実質的な収入は維持または増加しているのです。
利用者数減少という隠れた危機
問題の核心は「利用者数の減少」にあります。都市部でも地方でも、訪問介護を利用する方の数が減っているのです。しかし、その理由は地域によって大きく異なります。
都市部では事業所数の増加により競争が激化し、特に小規模事業所が利用者獲得競争に苦戦しています。一方、中山間地や離島では高齢者人口そのものが減少しており、需要の絶対数が縮小しているのです。この地域差を理解せずに一律の対策を講じても、効果は限定的となってしまいます。
単純に介護報酬を引き上げても、この構造的な問題は解決しません。必要なのは、地域の実情に応じた戦略的なアプローチなのです。
地域別に見る訪問介護の現状と課題
訪問介護の課題は地域によって顕著に異なります。ここでは都市部と地方部に分けて、それぞれの特徴と対応策を詳しく見ていきましょう。
都市部では人材確保の困難さが際立っています。他産業との人材の奪い合いに加え、介護サービス事業所同士での競合も激しくなっています。定期巡回・随時対応型訪問介護看護などで特にスタッフ不足感が強く、サービス提供体制の維持が大きな課題となっています。
興味深いことに、札幌市の事例では訪問介護事業所の閉鎖と新規参入が同時に進行しており、トータルでの事業所数は大きく減少していません。しかし、新規参入の多くはサービス付き高齢者向け住宅に併設する形態であり、地域の一般家庭への訪問を行う事業所の確保が新たな課題として浮上しています。
地方部の深刻な人口減少問題
中山間地や離島などの地方部では、高齢者人口の減少という根本的な問題に直面しています。利用者の絶対数が減少する中で、事業所の経営を維持することは極めて困難です。
また、地方部では60代以上の介護職員の割合が高く、若い世代のスタッフ確保ができなければ、近い将来サービス提供そのものが困難になる可能性があります。地域密着型通所介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護でこの傾向が特に顕著です。
訪問介護事業所が今すぐ取るべき対策
経営悪化の真因が明らかになった今、具体的にどのような対策を講じるべきでしょうか。ここでは実践的な解決策を提示します。
まず重要なのは、自事業所が置かれている状況の正確な把握です。都市部の競争環境にあるのか、それとも人口減少に直面する地方部なのかによって、取るべき戦略は全く異なります。都市部であれば、他事業所との差別化や専門性の向上が鍵となります。例えば、認知症ケアや医療的ケアなどの専門性を高めることで、競合との違いを明確にできます。
地方部では、事業所の大規模化や共同化によるコスト削減が有効です。複数の小規模事業所が連携することで、管理コストを分散し、効率的な人材配置が可能になります。また、訪問介護と通所介護を組み合わせた複合型サービスの展開も検討に値します。
加算取得による収益改善
サービス単価の上昇が経営改善に寄与していることから、各種加算の積極的な取得が重要です。特に以下の加算は優先的に検討すべきでしょう。
介護職員等処遇改善加算は必須です。この加算を最大限活用することで、スタッフの給与改善と事業所の収益向上を同時に実現できます。キャリアパス要件や職場環境要件を満たすことで、より高い加算率を獲得できます。
また、口腔連携強化加算も注目です。歯科医療機関との連携を構築することで算定でき、利用者の健康維持にも貢献します。訪問介護員が身体介護に集中できる環境を整えることで、より質の高いサービス提供が可能になります。
人材確保と離職防止の具体策
調査では、介護スタッフの離職理由のトップが「人間関係」であることが明らかになっています。市町村が実施している研修中心の離職防止策と、現場の実態にギャップがあるのです。
効果的な離職防止には、職場環境の改善が不可欠です。具体的には、コミュニケーションの活性化、適切な業務分担、メンタルヘルスケアの充実などが挙げられます。チームワークを重視した職場文化の醸成が、人材定着の鍵となります。
また、ICT技術や介護ロボット、介護助手の活用による生産性向上も重要です。記録業務の効率化や身体的負担の軽減により、介護職員がより専門的な業務に集中できる環境を整えましょう。
介護保険改正2024訪問介護に関する疑問解決
2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬は本当に下がったのですか?
基本報酬は一部で引き下げられましたが、実際のサービス単価は上昇しています。これは各種加算の充実により、総合的な収入が維持または増加しているためです。特に同一建物居住者へのサービスに関する減算強化が行われましたが、処遇改善加算の引き上げなどでカバーされています。
訪問介護事業所の経営を改善するには介護報酬の引き上げが必要ではないですか?
単純な報酬引き上げだけでは問題は解決しません。利用者数の減少という構造的な課題に対しては、事業所数の適正化、大規模化・共同化によるコスト削減、専門性の向上による差別化など、多角的なアプローチが必要です。地域の実情に応じた総合的な対策が求められています。
若い介護職員を確保するにはどうすればよいですか?
処遇改善はもちろん重要ですが、それだけでは不十分です。キャリアパスの明確化、働きやすい職場環境の整備、ICT活用による業務効率化、そして何より良好な人間関係を築ける職場文化の醸成が必要です。また、介護の専門性や社会的意義を積極的に発信し、業界の魅力を伝えることも大切です。
今の職場に不満がある場合はどうしたらいい?
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まとめ
介護保険改正2024年度版における訪問介護の課題は、多くの方が考えているよりも複雑です。経営悪化の主因は基本報酬の引き下げではなく、利用者数の減少にあることが明らかになりました。都市部では競争激化、地方部では人口減少と、地域によって異なる要因が存在します。
重要なのは、この事実を正しく理解し、自事業所の状況に応じた適切な対策を講じることです。加算の積極的な取得、専門性の向上、職場環境の改善、そして地域のニーズに応じた柔軟なサービス展開が、これからの訪問介護事業所の生き残りの鍵となります。
2027年度の次期介護報酬改定に向けた議論も始まっています。今こそ、目の前の課題に真摯に向き合い、持続可能な訪問介護サービスの提供体制を構築する時です。本記事で紹介した知見を活かし、あなたの事業所の未来を切り開いていってください。
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