2024年4月の介護保険改正により、訪問介護業界に激震が走っています。あなたが訪問介護事業所の経営者、管理者、あるいは現場で働くヘルパーなら、すでにその影響を肌で感じているかもしれません。厚生労働省の最新調査で明らかになった「訪問介護事業所の約6割が減収」という衝撃的な事実は、単なる数字ではなく、現場で働く人々の生活、そして高齢者の在宅生活を支える基盤そのものが揺らいでいることを意味しています。
この記事では、2024年の介護保険改正が訪問介護にもたらした具体的な影響を徹底解説し、さらに事業所が生き残るための実践的な対策まで詳しくお伝えします。改正内容を正しく理解し、適切な対応を取ることで、この厳しい状況を乗り越えることができるのです。
2024年介護保険改正が訪問介護に与えた衝撃的な影響

介護のイメージ
2024年度の介護報酬改定において、最も大きな打撃を受けたのが訪問介護サービスです。厚生労働省が2024年9月に実施した調査によると、全国の訪問介護事業所のうち、なんと約57%が前年同月比で減収という深刻な結果が明らかになりました。
この調査は全国3万3970の訪問介護事業所から3313団体を抽出し、1234団体から回答を得たもので、回収率は37%でした。つまり、これは一部の事業所だけの問題ではなく、訪問介護業界全体が直面している構造的な危機なのです。
最も深刻なのは、基本報酬の引き下げが実施されたことです。訪問介護は介護保険サービスの中でも特に利用者が多く、在宅生活を支える根幹となるサービスですが、今回の改定ではその基本報酬が削減されました。これにより、同じサービスを提供しても事業所が受け取れる収入が減少し、経営を圧迫する結果となっています。
なぜ訪問介護事業所の6割が減収になったのか
減収の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。まず第一に、基本報酬の引き下げがあります。訪問介護の基本的なサービス単価が下がったことで、これまでと同じ回数・時間のサービスを提供しても、事業所の収入は自動的に減少します。
第二に、加算要件の厳格化が挙げられます。処遇改善加算などの各種加算は事業所にとって重要な収入源ですが、2024年の改定ではこれらの加算を取得するための要件が厳しくなりました。特に小規模な事業所では、新しい要件を満たすための人材確保や体制整備が難しく、加算を取れなくなるケースが増えています。
第三に、人材不足による稼働率の低下も大きな要因です。介護業界全体で人手不足が深刻化していますが、訪問介護は特に厳しい状況です。基本報酬が下がったことで職員の給与を維持することが難しくなり、人材の流出が加速しています。ヘルパーが不足すれば、当然ながらサービス提供回数が減り、収入はさらに減少するという悪循環に陥っているのです。
さらに、利用控えの増加も無視できません。物価高騰により生活費が圧迫される中、介護サービスの利用者負担も増加傾向にあります。必要なサービスを減らさざるを得ない利用者が増えており、これも事業所の収入減につながっています。
地域別にみる2024年介護保険改正の影響
興味深いことに、減収の状況は地域によって若干の違いがあります。調査結果を地域属性別に分析すると、より詳細な実態が見えてきます。
中山間地域や離島では、減収となった事業所の割合は59%でした。これらの地域では元々ヘルパーの確保が困難で、移動時間も長いため、基本報酬の引き下げの影響をより強く受けています。過疎化が進む地域では、訪問介護事業所自体が撤退するリスクも高まっており、高齢者の在宅生活を支えるインフラが失われる危機に直面しています。
都市部でも減収割合は59%と、中山間地域と同水準でした。都市部では競合事業所が多く、人材の奪い合いも激しいため、人件費の上昇圧力が強くなっています。基本報酬が下がる一方で人件費は上がるという、収益構造の悪化が顕著です。
その他の地域では減収割合が52%と、やや低い結果となりました。しかし、それでも半数以上の事業所が減収となっている事実は重く受け止める必要があります。
訪問介護事業所が今すぐ取るべき5つの対策
この厳しい状況を乗り越えるために、訪問介護事業所が実践すべき具体的な対策をご紹介します。
加算の徹底的な見直しと取得
基本報酬が下がった今、各種加算を確実に取得することが生命線となります。特定事業所加算、処遇改善加算、サービス提供体制強化加算など、自事業所で取得可能な加算を総点検しましょう。加算要件が厳格化されたとはいえ、適切な体制を整えれば取得できる加算は多数あります。必要に応じて、加算取得のための研修受講や書類整備を優先的に進めることが重要です。
業務効率化とICT活用の推進
限られた人員で最大限の成果を出すには、業務の効率化が不可欠です。訪問スケジュールの最適化、記録のデジタル化、ケアマネジャーとの連携システム導入など、ICTツールを積極的に活用しましょう。特に移動時間の削減や事務作業の効率化により、直接ケアに充てる時間を増やし、サービス提供回数を増やすことができます。
サービスの多角化と収益源の拡大
訪問介護だけに依存するのではなく、複合的なサービス展開を検討する時期に来ています。訪問看護や居宅介護支援事業との連携、保険外サービスの提供、総合事業への参入など、収益の柱を複数持つことでリスクを分散できます。
人材確保と定着率向上の戦略的取り組み
職員の離職を防ぐことは、何よりも優先すべき課題です。処遇改善は当然として、働きやすい環境づくり、キャリアパス の明確化、メンタルヘルスケアの充実など、総合的な取り組みが必要です。また、未経験者の採用と育成、資格取得支援制度の充実なども効果的です。
地域包括ケアシステムでの存在感強化
地域の中核的な事業所として認知されることで、安定的な利用者の確保につながります。地域ケア会議への積極参加、医療機関との連携強化、地域住民向けの介護教室の開催など、地域での信頼構築に投資しましょう。
訪問介護で働く職員への影響と今後の見通し
事業所の減収は、そこで働くヘルパーや職員の処遇にも直結します。基本報酬の引き下げにより、給与やボーナスの削減、労働条件の悪化を懸念する声が現場から上がっています。
ただし、政府は処遇改善については別枠で対応する方針を示しており、処遇改善加算の拡充などの施策も進められています。事業所としては、これらの施策を最大限活用し、職員の処遇を守る努力が求められます。
今後の見通しとしては、2027年の次回改定に向けて、訪問介護の報酬体系の抜本的な見直しを求める声が業界団体から上がっています。在宅ケアの重要性が増す中、訪問介護の適正な評価を求める動きは今後も続くでしょう。
介護保険改正2024訪問介護に関する疑問解決
Q1. 2024年の介護保険改正で訪問介護の基本報酬はどれくらい下がったのですか?
基本報酬の引き下げ幅はサービス区分によって異なりますが、身体介護では平均して2~3%程度、生活援助では3~5%程度の引き下げとなっています。一見小さな数字に見えますが、年間の収入で考えると事業所にとっては大きな打撃となります。特に小規模事業所では、この数%の差が経営の存続に関わる問題となっています。
Q2. 減収になった事業所は今後どうなりますか?
減収が続けば、残念ながら事業撤退や廃業を選択する事業所が増える可能性があります。実際に、2024年後半には複数の事業所が廃業を発表しています。ただし、効率化や加算取得の工夫により経営を立て直している事業所も多く存在します。早期に対策を講じることが生き残りの鍵となります。
Q3. 利用者として訪問介護サービスに影響はありますか?
事業所の減少により、サービスの選択肢が減る可能性があります。また、ヘルパー不足により、希望する曜日や時間にサービスが受けられない、新規利用を断られるといった事態も増えています。特に中山間地域では深刻です。利用者の立場からも、かかりつけの事業所の経営状況に関心を持つことが大切です。
Q4. 処遇改善加算は今後どうなりますか?
政府は介護職員の処遇改善を重要課題としており、処遇改善加算の拡充は継続される見込みです。2024年改定でも処遇改善加算の新区分が設けられ、より手厚い支援が可能になりました。ただし、取得要件も厳格化されているため、事業所側の体制整備が必須となっています。
Q5. 次回の介護報酬改定はいつですか?
次回の介護報酬改定は2027年4月に予定されています。それまでの3年間で、今回の改定の影響を検証し、必要な修正が行われます。訪問介護業界からは基本報酬の引き上げを求める声が強く、次回改定での見直しが期待されています。
今の職場に不満がある場合はどうしたらいい?
「今の待遇で満足できない」「自分をもっと評価してほしい」そう感じているあなたへ。
あなたの豊富な経験と資格は、まじめに勉強して得た努力の結晶です。
しかし、職場によってはあなたの考えが否定されたり、人間関係によって働きづらくなってしまいあなた自身が損をしてしまいます。
もし、あなたがそんな悩みを少しでも抱えているのであれば「転職」は1つの選択として、頭のどこかに入れておくことが大切です。
なぜなら、転職を1つの選択肢として、考えて動いていないと本当に自分が辛い立場や気持ちに追い込まれたときに柔軟に考えることもできなくなってしまうからです。
介護ジャストジョブは、介護業界の専門家集団として、あなたの希望を丁寧にヒアリングし、待遇も働きやすさも納得できる正社員求人だけを厳選して紹介してくれます。
あなたの価値を正しく評価し、キャリアを次のステージへ押し上げる職場が見つかるサポートをしてくれている会社です。
正社員としての転職をご希望の方は今すぐご登録ください。あなたの「今」と「未来」に寄り添う転職サポートを無料で体験しませんか?
▼無料登録はこちら▼
無料登録はこちら
まとめ2024年介護保険改正を乗り越えるために
2024年の介護保険改正により、訪問介護業界は未曾有の厳しい状況に直面しています。約6割の事業所が減収という現実は、単なる一時的な問題ではなく、業界全体の構造的な課題を浮き彫りにしています。
しかし、この危機は同時にチャンスでもあります。業務の効率化、サービスの質の向上、地域での存在感の強化といった本質的な改革に取り組む絶好の機会と捉えることができます。今、適切な対策を講じた事業所だけが、今後も地域の高齢者を支え続けることができるのです。
訪問介護は、高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らし続けるために不可欠なサービスです。その重要性は今後さらに高まっていきます。経営者も職員も利用者も、それぞれの立場から訪問介護の未来を守るために行動する時が来ています。この記事でご紹介した対策を参考に、できることから始めてみてください。
コメント