「また同じことを聞いている……」「返事はいいのに、なぜか身につかない……」そんなモヤモヤを抱えて、このページにたどり着いた方は多いはずです。介護現場で新人さんがメモを取らない問題は、ただのやる気不足で片づけると、指導が空回りしやすくなります。実はそこには、覚え方の癖、現場の教え方、忙しさによる余裕のなさ、そしてハラスメントを恐れて言い切れない空気まで絡んでいます。だからこそ必要なのは、「メモを取れ」で終わる注意ではなく、なぜ取れないのかを見抜き、取れる仕組みに変えることです。
この記事では、新人本人の問題と決めつけず、現場全体の育て方まで踏み込んで整理します。読み終えるころには、「注意しても直らない」状態から、「これなら現場で回る」に変わるはずです。
- メモを取らない本当の原因の見抜き方。
- 新人にも先輩にも無理が少ない教え方の型。
- 怒鳴らずに成長を促す現場改善の視点。
- なぜ介護現場では「メモを取らない新人」が深刻になりやすいのか?
- 介護職新人がメモを取らない本当の理由
- まずはここを見抜く!原因別の見分け方
- 新人が変わる!現場で本当に効く7つの改善策
- その場で使える!先輩職員の伝え方4ステップ
- 新人本人へ伝えたいこと。「メモできない」は「向いていない」ではない
- 現場で本当に困るのは「メモしないこと」より「ズレたまま進むこと」
- 先輩側がついやってしまう逆効果な対応
- 実際によくある「どうしたらいいのか分からない」場面別の解決法
- 「メモしない新人」より先に疑ったほうがいい職場の問題
- 新人本人がラクになる小さな工夫
- 先輩が新人に教えるときの「体験ベース」の本音
- 離職につながる前に見ておきたい危険サイン
- 個人的にはこうしたほうがいいと思う!
- 介護職新人がメモを取らないに関する疑問解決
- まとめ
なぜ介護現場では「メモを取らない新人」が深刻になりやすいのか?

介護のイメージ
介護の仕事は、覚えることが多いわりに、毎回まったく同じ場面が来るとは限りません。食事介助、排泄介助、移乗、記録、申し送り、利用者さんごとの好みや禁忌。ひとつでも抜けると、本人が困るだけでなく、利用者さんの安全や安心に直結します。だから先輩は「メモを取ってほしい」と強く感じますし、取らない新人を見ると、不安にも腹立たしさにもつながります。
ただ、ここで見落としやすいのが、メモを取らない行動そのものより、育成の土台が整っていないことのほうが根深いという点です。厚生労働省は介護人材の確保に向けて、量だけでなく質の確保、資質向上、労働環境改善を同時に進める方針を示しており、2026年度には約240万人の介護職員確保が必要だとしています。人が足りない時代ほど、「できる人の背中を見て覚えろ」だけでは回りません。厚生労働省+1
しかも直近では、介護現場の生産性向上策として、手順書の作成、記録・報告様式の工夫、情報共有の工夫、OJTの仕組みづくりが厚生労働省の公式ポータルで前面に出されています。これは裏を返せば、今の介護現場では「個人の勘」ではなく、標準化された教え方が求められているということです。厚生労働省+1
介護職新人がメモを取らない本当の理由
メモを取らない新人を見ると、つい「やる気がない」「責任感がない」と考えたくなります。もちろん、そういうケースがゼロとは言いません。ですが、現場で本当に多いのは、もっとややこしいパターンです。
理由その1「見れば分かる」と思っている
介護未経験の新人さんほど、仕事の全体像がまだ見えていません。だからこそ、自分が何を覚え切れていないのかも把握しにくいのです。その結果、「さっき見たから大丈夫です」「あとで思い出せます」と、自分の記憶力を過信してしまいます。これは慢心というより、経験不足ゆえの見積もり違いです。
理由その2メモを取る余裕がない
実技を見ながら、声かけを聞きながら、利用者さんの表情も見て、さらにメモまで取る。新人さんにとっては、これがかなり難しいことがあります。特に移乗や入浴のように危険を伴う場面では、その場ではまず観察に集中し、終わってから整理して書くほうが適切な場合もあります。
理由その3何を書けばいいか分からない
メモを取る習慣がない人は、ただ「メモして」と言われても困ります。介護のメモは、学校の板書とは違います。手順全部を書けばいいわけでもなければ、単語だけ並べても後で意味が通らないことがあります。つまり問題は、メモの有無ではなく、メモの取り方を教わっていないことかもしれません。
理由その4叱られることが怖くて、書くより固まってしまう
返事はいいのに、行動が伴わない新人さんにはこのタイプもいます。頭の中では「失敗したくない」が強すぎて、メモを取るよりも、先輩の顔色を見てしまうのです。実際、介護現場では怒鳴る指導や威圧的な言い方が問題化しやすく、厚生労働省でもカスタマーハラスメント対策の強化や、研修・周知の必要性が示されています。2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント対策が義務化される予定で、2026年3月には関係省庁連携会議も開催されました。埼玉県でも2026年3月23日に、医療・介護従事者向けのハラスメント対応セミナーが実施されています。
まずはここを見抜く!原因別の見分け方
「メモを取らない新人」をひとくくりにすると、指導がズレます。見分けるポイントを整理すると、対応はかなり変わります。
| よくある原因 | 現場でのサイン | 合う対応 |
|---|---|---|
| 覚えたつもり型 | 返事は良いが、次回に再現できない。 | 口頭注意より、復唱と実演確認を増やします。 |
| 余裕不足型 | 見学中は必死で、書こうとすると手が止まる。 | その場では観察を優先し、終了後に三行だけ書かせます。 |
| 書き方不明型 | ノートは持っているが、中身が雑然としている。 | 見出しの型を決めて、記入例を一度見せます。 |
| 萎縮型 | 注意されると黙る。質問が極端に減る。 | 公開の場で責めず、個別に短く具体的に伝えます。 |
| 姿勢課題型 | 何度言ってもノートも確認も持たない。 | 期待水準を明確化し、期限つきで改善確認を行います。 |
ここで大事なのは、メモを取らないこと自体をゴールにしないことです。現場のゴールは、利用者さんに安全で安定したケアを届けることです。メモはそのための手段です。だから、ノートがびっしり埋まっていても再現できなければ不十分ですし、逆に簡潔でも必要な場面で活用できるなら十分価値があります。
新人が変わる!現場で本当に効く7つの改善策
ここからは、感情論ではなく、現場で使いやすい方法を絞ってお伝えします。
1.「全部書いて」ではなく「三点だけ書いて」に変える
新人さんにいきなり完璧なメモを求めると、続きません。最初は、手順、注意点、分からなかったことの三点だけで十分です。たとえば「移乗介助」「ブレーキ確認」「足位置不安」だけでもいいのです。これなら忙しい現場でも続けやすく、先輩も確認しやすくなります。
2.実技中は見学優先、終了後に一分で書かせる
介護は手技と声かけが重要です。実技中にうつむいて書いていたら、肝心の体の使い方や利用者さんの反応を見落とします。だから、見学するときは見学に集中、終わったらすぐ書く。この切り替えが効果的です。時間を区切ると習慣になりやすくなります。
3.復唱させる
メモより先に効くのが、実は復唱です。「次に何を意識する?」「今日の注意点は?」と短く聞いて、新人さん自身の言葉で言わせるのです。書けない人でも、口にすると理解の浅い部分が見えます。書くことだけに頼らない指導は、かなり大切です。
4.メモ帳ではなく「現場用フォーマット」にする
厚生労働省の介護分野の生産性向上ポータルでは、手順書は単なるマニュアルではなく、判断できるようになるまでの道標であり、写真やフロー図など一目で分かる形が有効だと示しています。つまり、新人に白紙の自由帳を渡すより、見出し付きの簡易フォーマットを持たせたほうが定着しやすいのです。
5.「メモしなさい」ではなく「次回どう確認する?」と聞く
注意だけでは受け身のまま終わります。そこで、「次に忘れないために、どうする?」と本人に言わせてください。メモでも、ポケットカードでも、申し送り前の見直しでもかまいません。自分で選んだ方法のほうが、続きやすいからです。
6.先輩ごとの言い方をそろえる
新人さんが混乱する大きな原因は、先輩ごとに言うことが違うことです。ある人は「まず動いて」、別の人は「勝手に動かないで」と言う。これでは、メモ以前に判断基準が育ちません。今の介護現場では、手順書、OJTの仕組みづくり、記録・報告様式の工夫が重視されており、個人技から仕組みへ移る流れがはっきりしています。
7.改善しない場合は、態度ではなく行動で評価する
何度伝えても改善しないケースもあります。そのときに「やる気がない」と人格評価へ飛ぶと、関係が壊れます。そうではなく、「ノート未持参が三回続いた」「確認なしで同じミスが二回あった」と、事実ベースで共有してください。改善期限を決め、できた点も合わせて伝えると、感情的な衝突を避けやすくなります。
その場で使える!先輩職員の伝え方4ステップ
感情的に言うと、たとえ内容が正しくても伝わりにくくなります。ここは型で乗り切るのがいちばんです。
- まず事実を短く伝えます。「さっきの排泄介助の手順、次回も使うから残しておこうか」と、評価ではなく場面を示します。
- 次に理由を添えます。「利用者さんごとに違う点が多いから、後で確認できる形が必要なんだよ」と、相手の成長に結びつけます。
- 続いて量を絞ります。「全部じゃなくて、注意点を二つだけ書こう」で十分です。
- 最後に確認します。「書けたら一緒に見ようか」と締めると、放置感がなくなります。
この伝え方なら、必要な指導をしつつも、威圧に寄りにくくなります。介護現場では今、ハラスメントを避けながら必要な指導をどう続けるかが大きなテーマです。だからこそ、内容ははっきり、言い方は穏やかにが基本になります。厚生労働省+1
新人本人へ伝えたいこと。「メモできない」は「向いていない」ではない
もしこの記事を読んでいるのが新人さん本人なら、まず知ってほしいことがあります。メモを取れない時期があることと、介護に向いていないことは別問題です。
介護の仕事は、学校の勉強のように座って覚えるものではありません。動きながら、相手を見ながら、危険を避けながら覚える仕事です。だから最初から器用にできなくて普通です。大切なのは、完璧なノートを作ることではなく、同じミスを減らすために自分なりの確認方法を持つことです。
たとえば、「移乗前はブレーキ」「食事前は姿勢」「排泄後は皮膚確認」のように、自分の弱い場面だけを短く持ち歩くやり方でも十分です。できる人ほど、実は全部を覚えているのではなく、抜けやすいところを先回りして確認する習慣を持っています。
現場で本当に困るのは「メモしないこと」より「ズレたまま進むこと」

介護のイメージ
正直にいうと、現場でしんどいのは、新人さんがメモを取らない瞬間そのものではありません。本当に困るのは、分かっていないのに分かったことになって仕事が進んでしまうことです。ここがいちばん危ないです。メモを取らない新人さんでも、その場で確認できて、分からないことを素直に聞けて、終わったあとに振り返れる人は伸びます。逆に、ノートは持っていても、聞き流し、分かったふりをして、利用者さんの前で自己流になる人は事故に近づきます。
介護現場では、たとえば移乗ひとつでも、「この方は左麻痺が強い」「急に立ち上がろうとする」「足元を見ると不安がる」「先に声をかけないと体が固まる」など、教科書どおりでは済まない情報が山ほどあります。こういう大事なポイントが抜けたまま進むと、転倒、拒否、不穏、クレーム、先輩との衝突に直結しやすいのです。
だから本音をいえば、現場で見るべきなのは「メモしたかどうか」ではなく、ズレをそのまま放置していないかです。ここを見ずに、「ノート出していないからだめ」「返事はいいから大丈夫」と判断すると、後でだいたい苦しくなります。介護は、分かったつもりがいちばん怖い仕事です。ここはかなり本質です。
先輩側がついやってしまう逆効果な対応
新人教育でありがちなのが、先輩側が焦ってしまって、結果的に新人さんをさらに動けなくしてしまう流れです。これは本当によくあります。
みんなの前で強く言う
「前も言ったよね?」「なんでメモしないの?」と、フロアの真ん中や申し送りの場で言ってしまう。気持ちはすごく分かります。忙しいし、何回も同じことが起こればイラッとします。でも、これをやるとその新人さんは、次から分からないことを隠すようになります。人前で恥をかかされた記憶は、思っている以上に残るからです。
介護の現場では、分からないことをその場で出せる空気が安全に直結します。恥をかかせる指導は、一時的に言うことを聞かせても、長期的には確認不足を増やしやすいです。
先輩が全部やってしまう
これもすごく多いです。「もういい、私がやるから」と先輩が巻き取る。するとその場は回ります。でも、新人さんからすると、「失敗すると取り上げられる」「見ているだけで終わる」と学習してしまい、ますます受け身になります。できないから任せない、任せないからいつまでもできない。このループに入ると、現場はじわじわ苦しくなります。
抽象的に注意する
「もっと周りを見て」「気を利かせて」「考えて動いて」。現場ではよく飛び交う言葉ですが、新人さんからするとかなり難しいです。だって、その「周りを見る」の中身が分からないからです。たとえば、「食後は下膳より先にAさんの姿勢が崩れていないかを見る」「入浴前はタオルの数より転倒リスクの高い方の動き出しを先に見る」といった、具体的な視点に落とさないと動けません。
実際によくある「どうしたらいいのか分からない」場面別の解決法
ここからは、現場で本当によく起きるのに、意外と誰も丁寧に教えてくれない問題を、かなり実務寄りに整理していきます。
申し送りを聞いても頭に残らないとき
新人さんがつまずきやすいのが申し送りです。言葉の量が多いし、専門用語も混ざるし、利用者さんの名前もまだ頭に入っていない。こうなると、全部が同じ重さに聞こえてしまいます。
このときは、全部を書こうとしないことです。まず拾うべきは、今日その人に起きやすいリスクと今日の変化です。たとえば、「食事量低下」「眠気強い」「歩行ふらつき」「排便なし」「皮膚トラブル注意」。これだけでもかなり違います。申し送りは情報の丸写しではなく、今日の注意点を抜き出す作業だと考えたほうが実務では役立ちます。
先輩側も、「この人の今日のポイントは一個だけでいいから押さえて」と伝えると、かなり通りやすくなります。
利用者さんに話しかけるタイミングが分からないとき
これも新人さんあるあるです。何を話せばいいか分からないし、変なことを言って不快にさせたくない。だから黙って介助だけしてしまう。でも、介護は黙ってやるほど相手が不安になりやすい仕事です。
コツは、会話を盛り上げようとしないことです。そんなに気負わなくて大丈夫です。「今から立ちますね」「少し体を右に向けますね」「寒くないですか?」で十分です。介護の声かけは、雑談力よりも安心させる実況のほうが大事です。
実際、ベテランほど派手な話術より、相手の不安を減らす言葉を淡々と入れています。新人さんが最初に目指すべきは、面白い会話ではなく、安心できる介助の言葉です。
記録が遅くて、後回しになってしまうとき
介護記録で多いのが、「あとでまとめて書こう」と思って抜けるパターンです。これ、本当に多いです。そして後から書こうとすると、順番が曖昧になり、表現もふわっとしやすいです。
記録が苦手な人は、まず文章をきれいに書こうとしないことです。「食事七割」「咳二回」「むせなし」「排便なし」「表情穏やか」など、事実を先に小さく押さえるだけで十分です。現場では、名文を書くより、事実を落とさないことのほうが何倍も大事です。
ありがちなのが、「利用者様穏やかに過ごされました」の一文で全部済ませること。でも実際に次の職員が知りたいのは、穏やかだったこと以上に、「食べたか」「出たか」「眠気はどうか」「いつもと違いはあったか」です。記録は感想ではなく、次のケアにつなぐための材料です。
家族対応で何を話していいか分からないとき
新人さんが怖がりやすい場面のひとつです。家族さんから話しかけられて、どこまで答えていいか迷う。ここは無理に背伸びしないことが大切です。
基本は、見た事実だけを丁寧に伝える、判断は一人で抱え込まない、です。たとえば、「今日は昼食をいつもよりゆっくり召し上がっていました」「少し眠そうなご様子がありました」までは自分で話せます。でも、「体調が悪いんだと思います」「最近認知症が進んでいます」みたいな評価は、職種や立場によっては勝手に言わないほうが安全です。
分からないときは、「詳しいことは確認してからお伝えしますね」が正解です。これを言える新人さんは、むしろ信頼されます。変に分かったふりをしてずれるほうが危ないです。
「メモしない新人」より先に疑ったほうがいい職場の問題
ここはかなり大事です。新人さんの課題に見えて、実は職場側の問題ということが結構あります。
教える人によって基準が違いすぎる
ある先輩は「まず見て覚えて」、別の先輩は「見てるだけじゃだめ、自分から動いて」、さらに別の先輩は「勝手に触らないで」。これ、新人さんからするとかなり混乱します。メモを取っても整理できないのは当たり前です。
現場で必要なのは、完璧な統一ではなくても、最低限の共通言語です。たとえば、「一人介助に入っていい条件」「必ず確認する場面」「記録に残す変化」だけでも揃っていると、新人さんはかなり動きやすくなります。新人教育がうまい職場は、先輩個人が優しいだけではなく、育成の土台が共有されていることが多いです。
忙しすぎて、教える側も余裕がない
これは現場の本音ですよね。人手が足りない、コールが重なる、記録も終わらない。その中で新人指導まで丁寧にやるのは正直きついです。だからこそ必要なのが、毎回長く教えることではなく、短く同じ型で伝える工夫です。
たとえば、勤務終わりに五分だけ「今日のよかった点一つ」「危なかった点一つ」「明日の確認点一つ」を言葉にするだけでも、かなり違います。長時間の反省会より、短い振り返りの継続のほうが現場では効きます。
新人が質問すると微妙な空気になる
これもかなり深刻です。表向きは「分からないことは聞いてね」と言いながら、実際に聞くとため息、早口、強い言い方。こうなると新人さんはすぐ察します。そして黙ります。黙る新人さんを見て、「何考えてるか分からない」とさらに評価が下がる。かなりよくある悪循環です。
質問しやすい職場は、ただ優しいのではなく、質問した行為自体を否定しないのです。答えが短くてもいい。忙しいなら「あとで一分だけね」でいい。大事なのは、聞いたことを邪魔者扱いしないことです。
新人本人がラクになる小さな工夫
ここからは、新人さん本人が今日から使いやすい工夫を、かなり現実的に書きます。理想論ではなく、「それなら現場でできるかも」という線で見てください。
- ポケットに入れるメモは一冊で十分です。用途ごとに分けると、むしろ見返さなくなります。
- 一ページに一利用者さんではなく、一ページに一テーマのほうが最初は使いやすいです。たとえば「移乗」「食事介助」「排泄介助」などです。
- 自分が毎回抜けやすいことだけに印をつけると、見返す価値が出ます。全部同じ濃さで書くと、後で読まなくなります。
この三つだけでも、かなり違います。新人時代のメモでいちばんもったいないのは、きれいに書いて満足して終わることです。ぐちゃぐちゃでも、後で見て助かるなら勝ちです。介護のメモは作品ではなく、現場で自分を助ける道具です。
先輩が新人に教えるときの「体験ベース」の本音
現場で何年もやっていると、きれいごとだけでは済まない場面を何度も見ます。たとえば、返事はすごく良いのに、利用者さんの前に出ると止まってしまう新人さん。メモは一生懸命取るのに、いざ介助になるとノートの内容と現場の状況がつながらない新人さん。逆に、ノートは雑だけど、一度言ったことを次で修正してくる新人さん。実際は、こういう人たちが混ざっています。
個人的な体感でいうと、現場で伸びる人は「最初からできる人」ではありません。自分のズレに気づいたあと、そこを直そうとする人です。介護の現場は、思いやりだけでも、要領のよさだけでも続きません。大事なのは、自分が迷ったところを放置しないことです。
そして、教える側にとっても大事なのは、「何回言ってもだめ」と切り捨てる前に、その人に伝わる形になっていたかを一度だけでも見直すことです。声で伝えたほうが入る人、やって見せたほうが分かる人、書いたほうが整理できる人、それぞれ違います。現場は忙しいので、全部に合わせるのは無理です。でも、一つのやり方しか認めないと、育つ人まで取りこぼしやすいです。
離職につながる前に見ておきたい危険サイン
新人さんが本当に危ない状態になる前には、分かりやすいサインが出ることがあります。
朝の挨拶の声が急に小さくなる。質問が減る。記録や申し送りで必要以上に短く済ませようとする。ミスを報告するときに、内容より先に言い訳が増える。こういう変化が出てきたら、単にやる気がないのではなく、萎縮、疲弊、自己防衛が始まっている可能性があります。
この段階で必要なのは、根性論ではありません。「何がしんどい?」「どの場面で止まる?」と、場面を限定して聞くことです。新人さん本人も、「全部がつらい」と感じていても、実際には「入浴介助だけ苦手」「申し送りが頭に入らない」「あの先輩の前だと焦る」など、具体化すると整理できることが多いです。
しんどさが具体化できれば、対応も具体化できます。逆に、ふわっとしたまま放置すると、「向いていないかも」で終わりやすいです。
個人的にはこうしたほうがいいと思う!
個人的にはこうしたほうが、ぶっちゃけ介護の本質をついてるし、現場の介護では必要なことだと思う。まず、新人さんに求める最初のゴールを、完璧に覚えることにしないほうがいいです。そこを目標にすると、できない自分を隠す方向に行きやすいからです。そうじゃなくて、最初のゴールは分からないことを分からないと言えること、そして危ない場面で勝手に進めないことに置いたほうがいいです。これは地味に見えるけど、介護ではものすごく大事です。
介護の仕事って、手際がいい人が偉いように見える瞬間があるんです。でも、本当に信頼される人って、ただ速い人じゃないんですよ。利用者さんのちょっとした違和感に気づく人、無理なときに無理と言える人、分からないまま流さない人、そういう人です。だから新人さんにも、先輩にも、職場全体にも必要なのは、「早く一人前になれ」という圧ではなく、危険を増やさずに学べる土台なんですよね。
それと、メモを取るか取らないかで人を見切るのは、やっぱり少し雑だと思います。見るべきなのは、メモしたかどうかより、次に活かしたかどうかです。ノートがきれいでも、利用者さんの不安を増やす介助なら意味がない。逆に、短い走り書きでも、次の介助でちゃんと修正できるなら、その人は育ちます。介護って、頭のよさを見せる仕事じゃなくて、相手の生活を守る仕事です。だから評価の軸も、そこに合わせたほうが絶対にいいです。
あと、現場で長く働く人ほど分かると思うんですが、新人教育がうまくいかない職場って、だいたい新人だけの問題じゃないです。教える基準がバラバラだったり、忙しすぎて誰も振り返れなかったり、言い方が強い人が放置されていたり、土台に何かあります。だから本気で改善したいなら、「あの新人がだめ」で終わらせずに、この職場は新人が育つ設計になっているかを見直したほうがいいです。ここを直さない限り、次に入ってくる人でも同じことが起きやすいです。
結局のところ、介護の現場で本当に必要なのは、知識を詰め込むことでも、怒って矯正することでもなく、利用者さんの前で安全に、丁寧に、分からないことを確認しながら働ける人を育てることだと思います。そこに向かうなら、メモは手段としてすごく大事です。でも、メモだけを正義にしない。ここを外さない職場が、結果としていちばん強いし、いちばん人が残ります。
介護職新人がメモを取らないに関する疑問解決
メモを取らない新人は、やはりやる気がないのでしょうか?
そう決めつけるのは早いです。覚えたつもり、書き方が分からない、実技を追うだけで精いっぱい、注意されるのが怖いなど、理由は複数あります。まずはなぜ取れないのかを切り分けてください。そこを見誤ると、指導しても空回りします。
先輩が忙しくて、細かく教える時間がありません。どうすればいいですか?
時間がない現場ほど、短く同じ型で教えることが重要です。「今日の要点は三つ」「終わったら一分で書く」「最後に復唱」のように、毎回同じ流れにすると負担が減ります。今の国の方向性でも、OJTの仕組みづくりや手順書の整備が重視されています。
メモを取らせると、かえって動きが遅くなりませんか?
最初は少し遅くなることがあります。ただし、長い目で見ると、同じ質問や同じミスが減るぶん、むしろ現場は楽になります。コツは、長文を書かせないことです。単語三つ、注意点二つで十分です。
何度言っても改善しない場合は、厳しく叱るしかないですか?
厳しさと感情的な叱責は別です。必要な指導は必要ですが、大声で怒鳴る、皆の前で責める、人格を否定するのは逆効果になりやすいです。今はハラスメント対策の整備も進んでおり、2026年10月からはカスタマーハラスメント対策の義務化も予定されています。職場全体で、指導のしかたを整える意識が欠かせません。
メモを取るより、まずは現場の空気を読むことが大事では?
たしかに介護はチームワークの仕事です。ただ、空気を読むだけでは安全は守れません。利用者さんごとの注意点、禁止事項、優先順位は、後で確認できる形になっていて初めて実務で活きます。空気と記録、どちらも必要です。
まとめ
介護職新人がメモを取らない問題は、本人の性格だけで説明できるほど単純ではありません。そこには、覚え方の個人差、実技中心の学びにくさ、先輩ごとの教え方のズレ、忙しい現場の余裕のなさが重なっています。
だから答えはひとつです。「メモを取れ」と叱るだけで終わらせないこと。見抜き、整え、続けられる形に変えることです。白紙のノートに任せるのではなく、三点メモにする。実技中に書かせるのではなく、見学後に一分だけ取る。先輩ごとの感覚に任せるのではなく、手順と確認の型をそろえる。ここまでできると、新人さんは変わります。
そして本当に強い現場は、メモを取る新人を育てる現場ではありません。誰が入っても学びやすく、怒鳴らなくても育つ現場です。今日から変えるなら、まずは「全部書いて」ではなく、「今日の注意点を二つだけ書こう」から始めてみてください。そこが、現場を立て直す最初の一歩です。



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