よく特別養護老人ホームに入るには「要介護3」じゃないと入所できないと聞いて諦めている方はいらっしゃいませんか?
特別養護老人ホームに問い合わせても「国の指針なので申し訳ありませんが・・・」など言われてしまっている方も多いかと思います。ですが、実際には要介護3でなくでも入所はできます!じゃあ具体的にはどうしたらいいのか。要介護についての話を交えながら実際にどうしたら要介護3以下でも入所できるのか。制度を踏まえて現役、介護職員がご説明します。
特別養護老人ホームに入る為には?
介護保険法の改正に伴い、平成27 年4月1日以降、特別養護老人ホームに入る為には原則として要介護度3以上ないと入ることができません。
介護保険法の改正に伴い、平成 27 年4月1日以降、指定介護老人福祉施設及び指定地域密着型介護老人福祉施設については、居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ることとしている。厚生労働省「特別養護老人ホームの重点化等について」から引用
じゃあ要介護度3以下の人たちは、絶対に入れないの!?それについては次でご説明していきます。
要介護って何?
要介護度とは国の定めた判断基準になり、寝たきりや認知症等でつねに介護を必要とする人の事を言います。要介護度は1から5まであり、1→2→3→4→5の順で介護が必要な方という判断になります。要介護度でも大きな境目となるのが、要介護度3になります。
「要介護3」と判断されるポイントは、立ち上がりや歩行・食事・排せつ・入浴の際に全面的な助けが必要な人が「要介護3」に認定されます。「要介護3」はつねに誰かの支援や見守りが必要である方になります。そうなってくると同居する家族が行うには時間的や体力的にも介護疲れにより疲労困憊し倒れてしまうため、24時間体制で介護が受けられる特別養護老人ホームの入所が優先されるのです。
なんで要介護度3じゃなきゃ入れないの?
厚生労働省は「原則要介護3以上に限定する~」としていますので原則はダメです。ですが、絶対に入所できないということではありません。それは、厚生労働省も発表しています。
新たに入所する方について、原則要介護3以上に限定することとなるが、要介護1又は2の方であっても、やむを得ない事情により指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認める(以下「特例入所」という。)こととする。厚生労働省「特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について」から引用
つまり、特例的に入所できるんです。要介護度が1であっても入所できます。具体的には認知症で日常生活に支障がある方・行動や意思疎通ができず、在宅生活が困難な方・単身世帯で親族からのサポートを受けられない方などが対象になります。
じゃあ具体的にどうすれば入所できるの?
身体機能の衰えや認知機能の低下によって介護保険サービスが必要と判断された場合、住んでいる市区町村の福祉課などに申請することで介護保険による介護サービスを受けることができます。
自治体職員による面談と、面談結果を元に有識者が判定を下し、介護を必要とする度合いによって、要支援(1・2)、要介護(1~5)の7段階に区分されます。要介護は数字が大きくなるほど手厚い介護が必要となり、介護保険サービスの利用限度額も高くなります。また、認知症の進行具合も大きな判断基準になります。重度の周辺症状(徘徊、妄想、誤食、不潔行為など)が見られる場合、身体は健康でも重度の要介護に割り振られる可能性があります。具体的には、最初の要介護判定の結果を元に「日常生活自立度」と呼ばれる判定基準と照らし合わせます。
日常生活自立度は非該当を除く「Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の7段階にランク分けされ、数字が高くなるほど症状は深刻なものになります。特に夜間騒いだり、暴力行為が見られるようになった場合、在宅介護は出来ないと判断され、指定の施設への入所を促されます。
介護認定までの流れ
1.地域包括支援センターに連絡を入れる
2.要介護認定の申請をする。
3.ケアマネジャーの訪問調査を受ける
4.申請結果を受け取って、居宅介護支援事業所へ連絡(要支援1〜2の方は、地域包括支援センターへ)
5.ケアプランの作成
6.サービス事業者との契約
要介護3以下の認定を受けた場合どうしたらいいの?
要介護の区分について最初に要介護3以下の認定を受けてしまった場合、自宅での在宅介護は困難でも要介護3以下の認定を受けてしまうことはあります。認定をする時だけ、受け答えのいいことを言ってしまう方も多くいらっしゃいますので注意が必要です。
基本的に介護保険は、新規申請時その区分(要支援1・2、要介護1~5のいずれか)の有効期間は6か月となっていて、その後3~12か月単位で見直すことが可能です。ですので、もし要介護3以下の認定を受けてしまったら区分変更の申請を早めにし、要介護3以上にするためにどうしたらいいのか定期的なケアマネジャーとの相談が必要となります。または、特例入所ができる要件を集め(認知症で日常生活に支障がある方・行動や意思疎通ができず、在宅生活が困難な方・単身世帯で親族からのサポートを受けられない方)特例入所できるようにケアマネジャーと相談をし、高齢者本人だけでなく在宅介護をしている家族。お互いにとって最良の介護サービスが受けられるように選ぶことが大切です。
まとめ
現状として「要介護3」は特養など施設への入居の判断を迫られる状態であります。家族の負担を減らすためには、こういった施設に預けることがベストの選択かもしれません。ですが、人口の多い場所では、特養への入所待機者の多さが社会問題になっていて、簡単に入所できません。そのなかで、重度の要介護者でも入所できる有料老人ホームや、バリアフリー対策と医療機関との連携を兼ねそろえた高齢者向け住宅が徐々に増えてきています。高齢者本人も家族も安心して暮らせるよう、自分たちに合った老人ホーム選びを早い段階から資料請求などを始めておくことが大切になってきます。
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