パーキンソン病の進行を止める治療法は未だ確立されていませんが、iPS細胞を活用した再生医療が新たな希望をもたらしています。京都大学の研究グループが実施した治験では、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を移植することで、安全性と有効性が示唆されました。今回は、この革新的な治療法の詳細と今後の展望について解説します。
iPS細胞によるパーキンソン病治療の革新

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治験の概要と成果
2018年から京都大学医学部附属病院で実施された医師主導の治験では、50〜69歳のパーキンソン病患者7名に対し、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を脳内の被殻に両側移植しました。主要評価項目は安全性であり、副次評価項目として運動症状の変化とドパミン産生を24ヶ月間にわたり観察しました。その結果、重篤な有害事象は発生せず、移植した細胞は生着し、ドパミンを産生し、腫瘍形成を引き起こさなかったことが確認されました。さらに、6名の患者のうち4名で運動症状の改善が見られました。
評価方法と結果
運動症状の評価には、国際パーキンソン病・運動障害学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)パートIIIのOFFスコアが使用されました。4名の患者で改善が見られ、ドパミン神経の活動が増加していることがPET(陽電子放出断層撮影)により確認されました。これらの結果から、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞の移植が安全であり、一定の有効性が示唆されました。
治療の実用化に向けた取り組み
日本国内では、住友ファーマ株式会社が製造・販売のために国への承認申請を進めています。また、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校でも、2023年11月からiPS細胞を用いたパーキンソン病の医師主導治験が開始されており、国際的な実用化に向けた取り組みが進んでいます。
iPS細胞を用いた治療のメリットと課題
メリット
倫理的な問題の回避: 死亡胎児の組織を使用する従来の方法に比べ、iPS細胞は倫理的な問題を回避できます。
供給の安定性: iPS細胞は体細胞から作成できるため、細胞の供給が安定し、治療の普及が期待されます。
個別化医療の可能性: 患者自身の細胞を用いることで、拒絶反応のリスクが低減し、個別化医療が可能となります。
課題
長期的な安全性の確認: 移植した細胞が長期間にわたり安全に機能するかどうか、さらなる研究が必要です。
コストと普及: 高度な技術と設備が必要なため、治療のコストが高くなる可能性があり、普及には時間がかかるかもしれません。
患者へのアクセス: 治療を受けるための施設や医師の確保が課題となります。
パーキンソン病に関する疑問解決
パーキンソン病とはどのような病気ですか?
パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が減少することにより、手の震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなどの症状が現れる進行性の神経疾患です。日本では約29万人の患者がいるとされています。
iPS細胞とは何ですか?
iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、体細胞に特定の遺伝子を導入することで、多くの種類の細胞に分化できる能力を持つ細胞です。2006年に京都大学の山中伸弥教授が発表し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
治療の効果はどのくらい持続しますか?
現在のところ、移植後2年間の観察でドパミン神経の活動が維持されていることが確認されていますが、長期的な効果についてはさらなる研究が必要です。
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まとめ
iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療は、倫理的な問題を回避し、供給の安定性や個別化医療の可能性を提供する革新的なアプローチです。京都大学の治験結果は、安全性と一定の有効性を示唆しており、今後の治療法の選択肢として期待されます。しかし、長期的な安全性の確認や治療の普及には時間がかかる可能性があり、引き続きの研究と取り組みが求められます。
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