「在宅介護」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?もしかしたら、「いつか自分も経験するのかな」「大変そうだけど、具体的に何が大変なんだろう」と漠然とした不安を抱いているかもしれません。今回ご紹介する体験談は、まさにそうした不安の入り口に立たされた、ごく普通の会社員である私自身の経験です。この記事では、父の病気がきっかけで始まった10年間の在宅介護生活を通して、私が身をもって知った「予備知識ゼロ」だったからこそぶつかった壁や、もっと早く知っていればよかったと心から思う7つの秘訣をお話しします。この経験が、在宅介護に直面している、あるいはこれからするかもしれないあなたにとって、少しでも安心できる道しるべとなれば幸いです。
父の病から始まった在宅介護生活の始まりと予期せぬ10年間

介護のイメージ
私たちの在宅介護生活は、2012年3月、父が突然「足が痛い」と言い出したことから始まりました。軽い捻挫だろうと高をくくっていた私とは裏腹に、病院での診断は手術が必要なものでした。幸いにも手術後の経過は良好で、退院後も以前のようにスタスタと歩く父を見て、これで一安心だと思っていたのです。
しかし、その安堵はわずか1年半で打ち破られます。2013年9月、父の病は再発。しかも、今回は激しい痛みを伴っていました。杖をついて歩く父の姿は、初めて目の当たりにした私にとって大きな衝撃でした。この再発を機に、父は入退院を繰り返し、私たちは先の見えない介護生活へと足を踏み入れていくことになります。
要支援2は在宅介護の序章だった
数度の手術と再発を繰り返すうち、父は徐々に自立した生活を送るのが難しくなっていきました。そして2020年頃、ついに要支援2の認定を受けることになります。これは、要介護の一歩手前です。自力でトイレや入浴、歯磨きはできるものの、歩行がままならなくなり、大好きだった自炊もできなくなっていきました。
在宅介護が本格的に始まったのはこの頃からでした。母と私の2人での分担が始まり、一番の不安は「要介護になったらどうしよう」ということでした。一人では何もできない状態になったとき、いったいどうすればいいのか、想像するだけで途方もない不安に襲われたものです。
在宅介護経験者が語る、知っておくべき7つの秘訣と現実
10年にわたる父の在宅介護を経験して、私が最も実感したのは「介護は一人で抱え込んではいけない」ということです。そして、それは単なる精神論ではなく、公的なサービスや介護のノウハウをいかに活用するかにかかっていると痛感しました。以下に、これから在宅介護に直面するあなたに、これだけは知っておいてほしい7つの秘訣をお伝えします。
介護認定は「準備期間」だと心得よう
要支援2の認定を受けた際、私たちはその状況にショックを受けましたが、今思えばそれは介護生活の「準備期間」だったのです。要支援の段階では、まだ自立できる部分が多く、できることとできないことを見極める貴重な時期です。この期間に、介護保険サービスの利用を始めたり、地域の相談窓口に顔を出したりすることで、いざ要介護になったときに慌てずに行動できる体制を整えられます。
介護保険サービスは「賢く」使い倒すべし
介護保険サービスは、利用できる種類や頻度を自分で決めることができます。私たちの場合は、定期的にヘルパーさんに来てもらい、父の入浴の手伝いや身の回りの世話をしてもらっていました。最初は「人に頼むなんて…」と抵抗がありましたが、プロのサポートを受けることで、私と母の負担は劇的に軽減されました。デイサービスやショートステイなど、様々なサービスがあることを知り、ケアマネジャーと一緒に積極的に活用することで、精神的にも肉体的にも余裕が生まれます。
在宅介護の「お金」について早めに話し合っておこう
介護には見えない出費がつきものです。オムツや介護食、通院費など、想像以上に費用がかかります。私たちの場合は、父が年金と貯金でやりくりしてくれていましたが、どのくらいの費用がかかるのか、誰が負担するのかを家族で早めに話し合っておくべきでした。公的な補助制度や医療費控除など、利用できる制度もたくさんあるので、事前に調べておくことが重要です。
完璧を目指さず「ほどほど」を目標にする
「親の面倒はすべて自分が看るべきだ」という責任感から、すべてを自分でやろうとしがちです。しかし、それでは長続きしません。私たちの場合は、母と私で役割を分担しましたが、それでも精神的に疲弊することは多々ありました。たまに来るヘルパーさんに「今日は大変でしたね」とねぎらってもらうだけで、どれだけ心が救われたか分かりません。自分自身の休息時間を確保するためにも、完璧主義を捨てて「ほどほど」の介護を目指すことが大切です。
介護は「終着点」を視野に入れておく
在宅介護は、いつまで続くのか見えないトンネルのようなものです。しかし、いつか来る「終着点」を意識しておくことは、心の準備をする上で非常に重要です。私たちの場合は、父の病気が進行し、ホスピスに入所するという選択をしました。ホスピスは終末期のケアを行う場所ですが、父はそこで穏やかな時間を過ごし、私たちも安心して見守ることができました。在宅介護だけが選択肢ではありません。施設入所やホスピスケアなど、様々な選択肢があることを知っておくことで、いざという時に冷静な判断ができます。
介護者は「心の健康」を最優先に
介護は肉体的な疲労だけでなく、精神的なストレスも非常に大きいです。「これでいいのだろうか」「もっとできることがあるのでは」という自責の念にかられることもありました。しかし、介護者が精神的に参ってしまっては、まともな介護は続けられません。私の場合は、仕事や趣味に没頭する時間を持つことで、意識的に介護から離れる時間を作っていました。自分自身を労わる時間を持つこと、そして自分の感情を吐き出せる相手を持つことが、長期的な介護を続ける上で不可欠です。
地域や専門家との繋がりを大切にする
在宅介護は孤独な戦いになりがちです。しかし、実は多くの人が同じような悩みを抱えています。地域の介護者交流会に参加したり、ケアマネジャーやソーシャルワーカーといった専門家に定期的に相談したりすることで、新しい情報や心の支えを得ることができます。私たちは、たまに来るヘルパーさんとの何気ない会話に、どれだけ助けられたか分かりません。一人で悩まず、助けを求めることが、在宅介護を乗り切るための最大の秘訣です。
在宅介護に関するよくある疑問Q&A
在宅介護は、わからないことだらけです。ここでは、私が介護中に抱いた疑問や、周りの友人からよく聞かれる質問に回答します。
Q. ケアマネジャーってどんなことをしてくれるの?
A. ケアマネジャーは、介護サービスを円滑に利用するための専門家です。具体的には、介護認定の申請手続きを代行してくれたり、本人の状態やご家族の希望に沿ってケアプランを作成してくれたりします。また、サービス事業所との連絡調整や、介護保険に関する相談にも乗ってくれます。いわば、在宅介護における強力な味方です。私たちは、父の要支援認定が下りた際にケアマネジャーに初めて会いました。最初はどんな人か不安でしたが、今では本当に心強い存在です。
Q. 訪問介護とデイサービスの違いは?
A. 訪問介護は、ヘルパーが自宅に訪問し、食事や入浴、排泄の手伝いなどの身体介護や、調理、掃除、洗濯などの生活援助を行うサービスです。一方、デイサービスは、日中に施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどを受けるサービスです。訪問介護は生活をサポートするサービス、デイサービスは心身の機能維持や社会参加を目的としたサービスと考えるとわかりやすいでしょう。
Q. 介護離職は避けるべき?
A. 介護のために仕事を辞める「介護離職」は、経済的な問題だけでなく、社会との繋がりが絶たれることで精神的なストレスも大きくなります。可能な限り、仕事と介護を両立させることを目指すべきです。そのために活用したいのが、介護休業や介護休暇、短時間勤務制度といった国の制度です。勤務先の会社に相談してみましょう。また、前述した介護保険サービスをうまく利用することも、介護離職を避けるための重要なポイントです。
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在宅介護は「チーム戦」、決して一人じゃない
10年にわたる在宅介護生活は、決して楽なものではありませんでした。しかし、この経験を通して学んだのは、介護は一人で背負うものではないということです。親の世話は「家族」だけでなく、「社会全体」で支えるべきものなのです。
私のように会社員として働きながら在宅介護を経験している人は、今もたくさんいらっしゃいます。もしあなたが今、在宅介護の渦中にいるなら、あるいはこれから直面するかもしれないなら、「頼る」ことの重要性を心に留めておいてください。ケアマネジャーやヘルパーさん、そして地域の支援サービスなど、助けてくれる手は必ずあります。
この記事が、あなたの在宅介護生活における一歩踏み出す勇気となり、少しでも心の重荷が軽くなることを願っています。そして、あなたが自分自身を大切にしながら、大切な家族との時間を穏やかに過ごせるよう、心から応援しています。
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