介護の仕事、大変ですよね。特に新人さんの頃って、慣れない業務に加えて、なぜか入浴介助やトイレ掃除ばかり任されて、心身ともに疲弊している人がとても多いです。「これって普通なの？」「私だけこんなに大変なの？」と疑問に感じ、先輩や同僚に相談できずに抱え込んでいる方もいるのではないでしょうか。この悩みは、あなたが無能だからでも、体力がないからでもありません。実は、介護現場に潜む「ある構造的な問題」が原因かもしれません。
新人介護職に偏りがちな業務…それはなぜ？
介護のイメージ
「毎日入浴介助ばかり」「パートなのに正社員より大変」…。これは、あなたが抱えている個人的な問題ではなく、多くの介護施設で実際に起こっている共通の課題です。こうした状況が生まれる背景には、いくつかの理由が考えられます。
理由1新人に任されがちな「危険な業務」の裏側
入浴介助やトイレ介助は、利用者の転倒事故が最も起こりやすい業務とされています。実は、ベテランの正社員は、こうした事故リスクの高い業務を新人に任せることで、自分たちの責任を回避しようとするケースが少なからず存在します。万が一事故が起きた場合、経験の浅い職員が対応していたという事実があれば、施設側やベテラン職員への責任追及が和らぐと考えられているからです。
もちろん、これは不正なことです。本来であれば、新人にはOJT（OntheJob Training）として経験豊富な職員がつき、安全な介助方法を丁寧に指導するべきです。しかし、人手不足の現場では教育にまで手が回らず、結果的に新人がリスクを背負わされることになってしまいます。
理由2正社員とパート・派遣社員の役割分担の不均衡
「パートだから浴室専門」「派遣だから入浴介助しかない」と感じている方もいるでしょう。これも、介護業界の常識としてまかり通っている不健全な風潮です。本来、正規・非正規に関わらず、利用者の状態を総合的に把握し、様々な業務を経験することが介護職員としての成長につながります。
しかし、多くの施設では、パートや派遣職員を「入浴や排泄介助に特化した労働力」と見なす傾向があります。これは、正社員がシフト作成や送迎、レクリエーション企画といった「楽な業務」を優先的に行うための不公平な役割分担です。こうした環境では、職員間の不満や不信感が募り、離職率の増加につながってしまいます。
介護現場のシフト問題に潜む「3つの悪しき慣習」
入浴介助やトイレ掃除当番の偏りだけでなく、シフトの問題は介護職員の精神と肉体を蝕む原因となります。あなたが働く職場で以下の悪しき慣習がありませんか？
- 「新人には入浴・排泄業務を集中させる」これは「経験を積むため」「利用者さんの身体を覚えるため」という美辞麗句で正当化されがちですが、実際はベテランが敬遠する業務を押し付けているケースがほとんどです。
- 「特定の職員にのみ負担をかける」正社員やベテランが送迎や事務作業を優先し、特定のパートや新人職員にだけ入浴やトイレ介助を集中させるシフトは、公平性を欠いています。
- 「十分な休憩時間がない」入浴介助が長引くことで休憩が短縮されたり、休憩中でも呼び出されたりする状況は、労働基準法違反の可能性があります。
こうしたシフトの悪しき慣習は、職員の不満を増大させ、最終的には「介護そのものへの嫌悪感」を生み出しかねません。
介護に関する疑問解決！利用者と自分を守るための行動マニュアル
「この状況、どうにかしたいけど…」そう思っているあなたのために、明日から使える具体的な解決策を3つご紹介します。
解決策1勇気を出して責任者に相談する
まずは、シフトを作成している責任者（管理者やサービス提供責任者）に直接相談してみましょう。この際、ただ「毎日お風呂は辛いです」と訴えるだけでなく、具体的な状況を冷静に伝えることが重要です。
例えば、「入職して1週間、毎日入浴介助をしていますが、利用者さんの個別的な状況把握や他の業務を学ぶ機会が少なく、介護職員としての成長に不安を感じています。もう少し幅広い業務を経験できるようなシフトに調整していただくことは可能でしょうか？」といったように、あなたの成長意欲やプロ意識をアピールしながら相談することで、相手も真摯に受け止めてくれる可能性が高まります。
解決策2業務負担を軽減する「チームワーク」を築く
あなた一人で抱え込まず、同じ境遇にいる同僚と協力するのも有効です。例えば、入浴介助やトイレ介助の際に「着脱は私、入浴はあなた」といったように役割分担をしたり、休憩が取れない状況を助け合ったりするだけでも負担は軽減されます。また、情報共有を密にすることで、お互いの業務負担を可視化し、責任者への相談材料とすることもできます。
解決策3転職も視野に入れる
残念ながら、あなたの努力や相談が届かない職場もあります。その場合は、「転職」という選択肢を真剣に考えるべきです。「介護の仕事が嫌いになった」のではなく、「その職場の環境が合わない」だけかもしれません。
転職を検討する際には、「職員の成長を大切にする施設か」「公平なシフト体制が整っているか」を事前に確認することが大切です。面接時に「新人研修はどのように行われますか？」「業務はどのように分担されていますか？」といった質問をすることで、職場の雰囲気を探ることができます。
| 良質な職場の特徴 | 避けるべき職場の特徴 |
|---|---|
| 新人にも公平に様々な業務を経験させる | 新人やパートに特定の業務を集中させる |
| 職員の意見や相談を真摯に聞いてくれる | 責任者が相談に乗ってくれない、または冷たい |
| 休憩時間がしっかりと確保されている | 休憩時間がない、または短縮される |
| 職員同士が助け合う文化がある | 職員間のいじめや陰口が横行している |
| 具体的なキャリアアッププランが提示されている | 研修や教育体制が不十分 |
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まとめ本当の「介護のプロ」になるために
入職して間もないあなたが感じる「毎日入浴ばかり」「トイレ掃除当番シフトが不公平」といった悩みは、決して特殊なものではありません。それは、多くの介護現場に潜む構造的な問題の表れです。この問題に気づき、声を上げたり、より良い環境を求めたりすることは、決して「逃げ」ではありません。
むしろ、利用者さんに質の高いサービスを提供するためには、まずあなた自身が心身ともに健康で、やりがいを感じられる環境で働くことが不可欠です。あなたの不満は、実は介護業界をより良くするための「貴重な声」なのです。この学びを活かし、あなた自身にとって最高の働き方を見つけてください。そうすることで、きっと介護の仕事の奥深さや楽しさを再発見できるはずです。
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