有料老人ホームに入居している、またはご家族が利用している方にとって、施設が突然「撤退」や「閉鎖」という事態になったらどうすればいいのか、不安に思われるのではないでしょうか。大切な住まいを失うだけでなく、今後の生活や手続き、そして何より大きな不安と混乱に直面しますよね。
なぜ今、有料老人ホームの撤退が増えているのか

介護のイメージ
実は、有料老人ホームのM&A(事業承継・買収)や撤退は、近年増加傾向にあります。これは介護業界の構造的な課題と深く関係しています。具体的には、市場の拡大による異業種からの新規参入、慢性的な人材不足、そして創業者の高齢化による事業承継の問題が主な背景となっています。異業種から参入した企業が経営に行き詰まったり、後継者が見つからない小規模な事業者が閉鎖を選択したりするケースが増えているのです。
このような状況は、利用者である私たちにとって決して他人事ではありません。突然の撤退に備え、正しい知識と心構えを持っておくことが、いざという時の冷静な判断と行動につながります。
有料老人ホームの撤退が決まったら何をすべき?契約解除の3ステップ
施設が撤退を決定した場合、私たちはどのようなステップで契約を解除し、次の住まいを見つければ良いのでしょうか。冷静に、そして確実に進めるための3つのステップをご紹介します。
ステップ1まずは施設の公式発表と説明会に参加する
施設側が撤退を決定した場合、まずは入居者とその家族に対して、その旨を正式に通知し、説明会を開催するのが一般的です。この説明会では、撤退の理由や今後のスケジュール、転居先のサポート体制など、重要な情報が共有されます。ここで大切なのは、疑問点をすべてメモし、質問することです。
- 撤退の決定経緯と具体的な閉鎖日を確認しましょう。
- 転居先を探すためのサポートは、どこまで施設が提供してくれるのかを具体的に尋ねましょう。
- 入居一時金や敷金の返還手続き、そして返還時期について明確な回答を求めましょう。
こうした情報を正確に把握することが、今後の行動の出発点となります。また、説明会で提示される内容を鵜呑みにせず、後述する「利用者保護の視点」から確認することが極めて重要です。
ステップ2入居契約書を隅々まで再確認する
多くの人が見落としがちなのが、この「入居契約書」の再確認です。撤退が決定したからといって、すべてが施設側のペースで進むわけではありません。契約書には、退去に関する条項や入居一時金の返還規定、そして運営法人が遵守すべきルールが明記されています。
特にチェックすべきポイントは以下の通りです。
- 契約解除の申し出期間一般的に、退去の1ヶ月前までに申し出るのが通例ですが、撤退の場合は特例が設けられていることがあります。
- 入居一時金の返還規定施設撤退時の入居一時金の扱いについて、返還方法や計算方法が記載されています。
- 原状回復義務退去時に必要な居室の原状回復費用について、誰がどの範囲まで負担するのかが明記されています。
これらの内容を把握することで、施設側が不当な要求をしていないかを確認できます。
ステップ3公的な相談窓口を活用し、専門家のアドバイスを求める
有料老人ホームの撤退は、利用者にとって非常に大きな問題です。施設との交渉が難航したり、説明に納得できなかったりする場合は、一人で悩まずに公的な相談窓口を活用しましょう。
以下のような窓口が利用者の強い味方になってくれます。
- 地域の消費生活センター契約内容や金銭トラブルに関する相談に乗ってくれます。
- 都道府県の高齢福祉課有料老人ホームを所管する行政機関であり、施設運営に関する指導監督権限を持っています。
これらの窓口は、専門的な知見からアドバイスを提供してくれるだけでなく、必要に応じて施設側に指導を行うことも可能です。
有料老人ホーム撤退時契約解除に関する疑問解決
有料老人ホームの撤退という未曾有の事態に直面したとき、多くの人が抱くであろう疑問をQ&A形式で解説します。
Q1入居一時金は全額返ってきますか?
撤退時の入居一時金の返還額は、契約書の内容と入居期間によって異なります。ほとんどの場合、入居一時金は「初期償却分」と「月額償却分」に分けられており、入居期間に応じて償却されていきます。撤退の場合でも、未償却分については返還されるのが原則です。
また、入居後3ヶ月以内に契約を解除する場合は「短期解約特例」が適用され、入居日数分の費用を差し引いた残額が返金されます。この3ヶ月ルールは、有料老人ホーム事業者が遵守すべき法的規定であり、消費者保護の観点から非常に重要です。
しかし、施設側が不当な償却費用を主張してくるケースもゼロではありません。契約書の内容をしっかり確認し、不明な点があれば専門家(弁護士など)に相談することが賢明です。
Q2施設側から退去期限を一方的に伝えられました。従うしかないですか?
施設が撤退する場合でも、入居者には生活の本拠地を失うという大きな不利益が生じます。そのため、施設側は入居者とその家族に十分な情報提供と合理的な時間を与え、新たな転居先を見つけるサポートをする義務があります。
いきなり「○月○日までに退去してください」と一方的に告げられた場合でも、すぐに従う必要はありません。まずは行政の担当窓口に相談し、施設が適切な手続きを踏んでいるか確認しましょう。また、新たな施設が見つからない場合は、施設と交渉して退去期限の延長を求めることも可能です。
Q3撤退後の引っ越し費用は誰が負担しますか?
引っ越し費用を誰が負担するかは、入居契約書に明記されているケースはほとんどありません。通常、引っ越し費用は入居者側が負担することになります。しかし、施設側の都合による撤退であるため、交渉次第では一部を施設が負担するケースも考えられます。
例えば、施設側が転居先を斡旋し、その際の事務手数料や引っ越し業者との調整をサポートしてくれる場合があります。交渉の際は、一人で抱え込まずに、行政や弁護士といった専門家を交えて冷静に進めることが成功の鍵となります。
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まとめ有料老人ホーム撤退は備えあれば憂いなし
有料老人ホームの撤退は、誰にとっても予期せぬ出来事であり、大きな不安と混乱をもたらします。しかし、この記事でお伝えしたように、正しい知識と行動のステップを踏むことで、その不安を最小限に抑え、スムーズな移行を実現できます。
最も重要なことは、「施設側の言いなりにならない」ことです。入居契約書という最強の武器を手に、行政や弁護士といった頼れる味方をつけ、冷静に交渉に臨みましょう。この情報が、あなたや大切なご家族の未来を守る一助となれば幸いです。
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