「介護タクシーって、結局は送迎の仕事でしょ?」と思って調べ始めたのに、読み進めるほど資格や介助や介護保険の話が出てきて、かえって分からなくなった。そんな人は少なくありません。実際、この仕事はただ運転できればいい職種ではなく、利用者さんの不安を受け止め、体調を見て、移動そのものを安心に変える専門職です。しかも2026年4月時点では、国の制度運用や申請実務も少しずつ更新されており、「昔のままの理解」で読むと大事なところを外しやすいテーマでもあります。
この記事では、介護タクシーの仕事内容を、未経験の人にも腹落ちするように順番にほどいていきます。どんな一日なのか。何が大変で、何がやりがいなのか。いくらくらい稼げて、どんな人に向いているのか。そして、転職と開業では何が違うのか。そこまで一気につなげて見えるように整理しました。
- 介護タクシーは、運転業と介護職の要素が重なる専門仕事です。
- 必要なのは、仕事内容に応じた二種免許と介護資格の理解です。
- 収入や将来性を見るなら、求人条件よりも働き方の中身を先に見抜くことが重要です。
- 介護タクシーの仕事は「送迎だけ」ではない
- 介護タクシーと福祉タクシーは何が違うの?
- 介護タクシーの一日は、どんな流れで進むのか
- 必要な資格は2つ軸で考えると失敗しない
- この仕事の本当の大変さは、体力より「気づきの連続」にある
- 収入の目安と、求人票だけでは見えない現実
- 転職と開業、どちらが向いているのか
- 2026年4月時点で押さえたい最新動向
- 向いている人と、続けやすい人の共通点
- 転職前に見落としやすい「本当に見るべき求人条件」
- 面接で本当に聞くべきことは「歓迎されるか」ではなく「守ってもらえるか」
- 現実でよくある「どうしたらいいのかわからない場面」と対処の考え方
- 介護キャリアとして見るなら「ドライバー」で終わらないほうが強い
- 未経験者が最初の3か月でつまずきやすいポイント
- 収入を上げたい人ほど「件数」より「信頼の再現性」を考えたほうがいい
- 腰痛、メンタル疲労、待機時間のしんどさをどう乗り切るか
- 家族対応がうまい人は、現場でも転職でも強い
- 個人的にはこうしたほうがいいと思う!
- 介護タクシーの仕事内容に関する疑問解決
- まとめ
介護タクシーの仕事は「送迎だけ」ではない

介護のイメージ
介護タクシーの仕事をひと言で表すなら、移動に不安がある人を、目的地まで安全に届ける仕事です。ただし、その「届ける」までに含まれる工程が、一般的なタクシーよりずっと広いのが特徴です。自宅の玄関先での声かけ、車いすへの移乗、スロープやリフトの操作、車内での体勢確認、到着後の降車介助、必要に応じた受付補助まで、利用者さんの状態に合わせて仕事が連続していきます。
特に大事なのは、運転より前の時間です。乗る前に息切れしていないか、痛みはないか、いつもより反応が遅くないかを見ておかないと、移動中のトラブルにつながります。つまり介護タクシーは、ハンドルを握る前から始まっている仕事なんです。
介護保険の対象になる場面では、正式には通院等乗降介助として扱われます。ここで保険がかかるのは主に介助部分で、運賃そのものは介護保険の対象外です。この仕組みを知らないまま入職すると、現場で「どこまでが介助で、どこからが自費なのか」が曖昧になりやすいので、最初に押さえておくと理解が深まります。
介護タクシーと福祉タクシーは何が違うの?
ここは検索ユーザーが一番混乱しやすいところです。結論から言うと、現場では呼び方が入り混じることもありますが、仕事の理解としては介護保険が絡むかどうか、そして介助の専門性が求められるかどうかで整理すると分かりやすくなります。
介護タクシーは、要介護認定を受けた人の通院や生活上必要な外出を支える場面で使われやすく、ケアプランに位置づけられれば介助部分に介護保険が使えることがあります。一方で福祉タクシーは、保険外でより柔軟に使われる移送サービスとして理解するとズレにくいです。家族同乗や私的な外出がしやすい反面、事業者によって介助の範囲はかなり違います。
つまり仕事として見ると、介護タクシーのほうが制度理解と介助責任が重くなりやすい。ここが「同じ送迎仕事だと思って入ったら想像より専門職だった」と感じる理由です。
| 比較項目 | 介護タクシー | 福祉タクシー |
|---|---|---|
| 主な利用場面 | 通院や生活上必要な外出 | 通院以外も含め幅広い外出 |
| 介護保険 | 条件次第で介助部分に適用 | 原則として適用外 |
| 仕事の重心 | 送迎と介助の両立 | 移送中心で事業者差が大きい |
| 必要性が高い力 | 身体介助、接遇、制度理解 | 運転、配慮、柔軟対応 |
介護タクシーの一日は、どんな流れで進むのか
朝は予約確認から始まります。何時にどこへ行くかだけではありません。利用者さんの歩行状態、車いすかストレッチャーか、付き添いの有無、病院の混雑しやすい時間帯、駐車しやすい導線まで確認しておくと、一日の精度が変わります。
現場に着いたら、まずは急がせないこと。介護タクシーで信頼を失う人は、運転が荒い人だけではありません。声かけが雑で、利用者さんのペースを奪う人も選ばれなくなります。玄関の段差、靴の履き替え、杖の置き場所、車いすのフットレスト。小さな所作の積み重ねが、そのまま評価になります。
移動中は安全運転が当然として、実は揺らさない運転がとても大事です。高齢の方や痛みのある方は、少しの段差でも苦痛になります。ブレーキのかけ方ひとつで「またお願いしたい」が決まることもあります。
到着後も仕事は終わりません。必要に応じて受付補助や院内移動の一部を支え、帰りの段取りを確認します。介護タクシーの仕事は、ドアツードアではなく、不安を切れ目なく小さくしていく仕事だと考えると、本質が見えてきます。
必要な資格は2つ軸で考えると失敗しない
まず必要になるのは普通二種免許
利用者さんから運賃を受け取って運送する以上、基本となるのは普通自動車第二種免許です。現在は原則21歳以上かつ一定の免許経歴が必要ですが、制度見直しにより、条件付きで19歳以上かつ運転経験1年以上でも受験できる仕組みがあります。若い世代が参入しやすくなったのは、以前よりはっきりした変化です。
介助をするなら介護職員初任者研修が土台
乗降介助や移乗介助まで担うなら、介護の基礎を学んでおく必要があります。入口として代表的なのが介護職員初任者研修で、法定カリキュラムは130時間です。ここを飛ばして現場に入ると、利用者さんの身体の動かし方が分からず、自分の腰も痛めやすくなります。介護タクシーで長く働く人ほど、「最初に基礎介助を学んだ価値は大きい」と感じやすい部分です。
さらに、余裕があれば救命講習やユニバーサルドライバー研修も強みになります。採用条件に必須でなくても、現場ではこうした学びが接遇の差になります。
この仕事の本当の大変さは、体力より「気づきの連続」にある
介護タクシーの仕事がきついと言われる理由を、単純に「体力仕事だから」で片づけるのは半分しか当たっていません。もちろん移乗や車いす操作は体を使います。でも、それ以上にしんどいのは、常に先回りして考え続けることです。
今日は体調が悪そうだから、段差はいつも以上に慎重に越えよう。病院が混む日だから、待機時間の間に姿勢が崩れないよう配慮しよう。認知症の傾向があるから、説明は短く、安心できる言い回しにしよう。こうした細かな判断を毎回積み重ねるので、ただ運転する仕事より神経を使います。
一方で、この大変さはそのままやりがいにも変わります。「あなたが来てくれると安心する」と言われる瞬間は、一般的な配送や送迎の仕事ではなかなか味わえません。介護タクシーは、人から必要とされる実感がかなり濃い仕事です。
収入の目安と、求人票だけでは見えない現実
公的データでは、介護タクシー運転手の全国平均年収は414.9万円、平均月間労働時間は173時間、平均年齢は60.2歳です。ハローワーク求人統計ベースの求人賃金月額は21.9万円、有効求人倍率は1.14倍で、人材が余っている職種ではありません。数字だけ見ると派手ではないものの、専門性に対して一定の需要があり、年齢が高めでも働き続けやすい仕事だと読めます。
ただし、ここで勘違いしたくないのは、同じ「介護タクシー求人」でも中身がかなり違うことです。歩合が強い会社、固定給が中心の会社、デイサービス送迎が主な会社、訪問介護寄りの会社では、仕事の密度も年収の伸び方も変わります。だから見るべきは月給額だけではなく、介助の範囲、予約の組み方、資格取得支援、同乗研修の長さです。
求人票で「未経験歓迎」と書いてあっても、本当に未経験向きかは別問題です。マニュアルがあるか、独り立ちまで何件同乗できるか、車両台数に対して余裕があるか。このあたりを見ないと、入社後の負担が大きくなります。
転職と開業、どちらが向いているのか
未経験なら、結論はかなり明確です。まずは事業所へ就職して現場経験を積むほうが安全です。理由はシンプルで、介護タクシーは「資格を取ればすぐ回せる仕事」ではないからです。利用者対応、病院との動き方、ケアマネジャーとの連携、予約の組み方、車両整備、クレーム対応まで、覚えることが多い。これをいきなり一人で抱えると、営業以前に現場運営で詰まりやすくなります。
一方、開業には魅力もあります。時間の使い方を自分で決めやすく、地域に合えば収入を伸ばせる可能性もあるからです。ただし開業は、ドライバー兼介助者である前に事業者になることを意味します。営業所、車庫、車両、申請、保険、資金繰り、営業活動まで全部が仕事です。
しかも2026年4月時点では、一般乗用旅客自動車運送事業のうち福祉輸送事業限定の輸送実績報告書提出について、e-Govでのオンライン申請対応が案内されており、事業運営側は紙やメールだけでなくデジタル申請の理解も求められる流れです。国土交通省は令和8年度予算でも、リフト等を備えた福祉限定輸送車両や標準仕様UDタクシーの導入促進を続けています。つまり今後は、現場力に加えて制度対応力も持つ事業者が強くなります。
2026年4月時点で押さえたい最新動向
直近1か月で見ておきたいのは、制度そのものが激変したというより、運用の確認と実務の整備が進んでいることです。厚生労働省の2026年3月13日資料では、通院等乗降介助の扱いと、それ以外のサービス範囲の整理が改めて示されています。現場では「どこまで算定できるのか」が曖昧だとトラブルになりやすいため、この再確認は地味でも重要です。
また、国土交通省資料では、福祉タクシー車両は令和7年3月末時点で全国47,119台、UDタクシーを含む福祉タクシー導入目標は令和7年度までに約9万台とされています。数字だけ見るとまだ伸びしろが大きく、介護タクシーの仕事は単なるニッチ職ではなく、移動支援インフラの一部として期待されていることが分かります。
向いている人と、続けやすい人の共通点
この仕事に向いている人は、優しい人というより、相手の変化に気づける人です。足元が不安定そうだと気づく。会話の調子から不安が強いと察する。車内の温度や段差の衝撃に先回りできる。こうした細やかさが、そのまま仕事の質になります。
もうひとつ大きいのは、ルーティンを嫌いすぎないことです。予約制なので、毎週同じ利用者さんを同じ病院へ送ることもあります。でもその繰り返しの中に、小さな変化があります。そこを丁寧に拾える人ほど、信頼が積み上がります。
逆に、時間に追われると雑になりやすい人、相手のペースに合わせるのが苦手な人、ひとりで判断する場面が多い仕事に強いストレスを感じる人は、入職前に慎重に考えたほうがいいでしょう。
転職前に見落としやすい「本当に見るべき求人条件」

介護のイメージ
介護タクシーへ転職したい人が、いちばん最初にやりがちなのが月給だけで求人を比べることです。気持ちはよくわかります。生活があるので、まず給与が気になるのは当然です。でも、現場で長く続く人は、実はもっと別のところを見ています。見ているのは、その会社が未経験者を一人前にする気があるかです。
たとえば、同じ「未経験歓迎」でも中身はかなり違います。最初の1週間で独り立ちを求める会社もあれば、先輩の同乗を何十件も経験させてから任せる会社もあります。ここで差が出るのは安心感だけではありません。事故率、離職率、利用者さんからの信頼まで変わります。
求人票で見るべきなのは、資格取得支援の有無だけでは足りません。実際には、介助の範囲、一日の件数、院内付き添いの扱い、キャンセル時の給与への影響、休憩が本当に取れるのかまで見たほうがいいです。ここを見ずに入ると、「思っていたよりきつい」ではなく、「想定していた仕事と違った」になりやすいんです。
特に注意したいのは、求人票に「介護タクシー」と書いてあっても、実態はデイサービス送迎が中心だったり、介助よりも運転メインだったりするケースです。逆に、かなり介護色が強く、移乗や付き添いが濃い職場もあります。仕事内容の名前ではなく、一件ごとの実務を聞く。これが転職で失敗しない人の共通点です。
面接で本当に聞くべきことは「歓迎されるか」ではなく「守ってもらえるか」
介護業界の転職でありがちなのが、「面接で何をアピールするか」ばかり考えてしまうことです。もちろん大事です。でも、介護タクシーに関しては、応募者側もかなり質問したほうがいいです。なぜかというと、この仕事は職場選びで働きやすさが大きく変わるからです。
たとえば、面接でこんなことを確認しておくと現場の解像度が一気に上がります。
- 独り立ちまでの同乗期間は何日ではなく、何件くらいありますか。
- 車いす移乗や狭所対応で困ったとき、すぐ相談できる体制はありますか。
- 急なキャンセルや家族都合の予定変更があった場合、乗務員の動きはどう調整しますか。
この質問をすると、ちゃんとした会社ほど具体的に答えてくれます。逆に、話がふわっとしていたり、「慣れれば大丈夫です」の一言で流されるなら注意が必要です。介護タクシーは慣れだけで乗り切れる仕事ではありません。仕組みで支えてくれる職場かどうかが大事です。
個人的には、面接で一番信頼できる会社は、仕事の大変さも普通に話してくれる会社です。「うちは楽です」「誰でもすぐできます」と言う会社より、「最初は段差対応と時間管理でつまずく人が多いので、そこは一緒に練習します」と言ってくれる会社のほうが、現場をわかっています。
現実でよくある「どうしたらいいのかわからない場面」と対処の考え方
利用者さんの体調が、いつもと明らかに違うとき
これ、現場ではかなりあります。たとえば、いつもより返答が遅い。息が上がっている。顔色が悪い。むくみが強い。こういうときに新人さんほど「予約時間があるから急がないと」と思いがちです。でも、本当に大事なのは予定通りに動くことではなく、今日はいつも通りではないと気づけることです。
慌てて乗せる前に、本人の訴えを短く確認する。家族や同居者がいれば状態を聞く。必要なら事業所へ一報を入れる。無理にいつもの流れへ戻そうとしない。この判断ができる人は信頼されます。逆に、時間優先で進めると、あとで大きな問題になりやすいです。
家族からの要望が増えて、どこまで応じていいかわからないとき
介護タクシーの現場では、「ついでにこれもお願い」「帰りに少し寄ってほしい」「病院の中までずっと付き添ってほしい」と頼まれることがあります。ここで断るのが苦手な人ほど抱え込みます。でも、やさしさだけで全部引き受けると、制度や契約、次の予約、利用者本人の安全に無理が出ます。
こういうときは、感情で断るのではなく、できることと難しいことを丁寧に分けて伝えるのがコツです。「気持ちはわかります。ただ、この部分は事前調整が必要です」「この範囲なら対応できますが、ここから先はケアマネさんや事業所と確認が必要です」と伝えると、関係を壊しにくいです。現場で強い人は、冷たい人ではなく、線引きを言語化できる人です。
認知症の利用者さんが乗車を嫌がるとき
これは本当に悩みます。無理に急がせると余計に拒否が強くなります。現場感としては、正論で説得しようとするほど難しくなります。「病院に行きますよ」「時間がないですよ」と説明しても、本人の不安は減りません。まず必要なのは、目的の説明より安心の確保です。
声のトーンを落とす。いきなり身体に触れない。短い言葉で一つずつ伝える。家族のいつもの声かけを真似する。乗ること自体を目標にしすぎず、まず玄関まで、次に車のそばまでと小さく刻む。こういう地味な対応が効きます。介護タクシーは、速さより順番が大事な仕事です。
介護キャリアとして見るなら「ドライバー」で終わらないほうが強い
介護タクシーに興味を持つ人の中には、「運転が好きだから」「夜勤が少なそうだから」「介護職より身体負担が少なそうだから」という入口の人も多いです。それ自体は悪くありません。ただ、長く続けるなら、自分を運転職だけで定義しないほうが強いです。
なぜなら、介護タクシーで評価される人は、運転が上手い人だけではないからです。ケアマネジャーと話せる。家族への説明が丁寧。利用者さんの小さな変化に気づける。緊急時に落ち着いて連絡できる。こういう人は、現場で「いてくれると助かる人」になります。
だから、介護キャリアとして考えるなら、次の視点を持っておくと強いです。ひとつは、介助技術を磨くこと。もうひとつは、多職種とつながる力を持つことです。介護タクシーは孤独な仕事に見えて、実は周囲との連携で成り立っています。病院、施設、家族、ケアマネ、訪問介護、時には行政とも接点が出ます。ここで信頼を積める人は、転職でも独立でも強いです。
将来的に介護福祉士や相談系の仕事へ広げる人もいますし、逆に運行管理や事業運営側へ行く人もいます。つまり介護タクシーは、終点というより、介護と移動支援を軸にしたキャリアの分岐点として考えると伸びやすいんです。
未経験者が最初の3か月でつまずきやすいポイント
現場でよくあるのは、技術不足そのものより、頭の使いどころを間違えることです。最初の3か月で特につまずきやすいのは、次のような部分です。
ひとつ目は、時間に追われて利用者さんのペースを乱してしまうこと。予約仕事なので焦る気持ちは自然です。でも、介護タクシーは急ぐほど遅れやすいです。靴の履き替えや立ち上がりを急がせると、やり直しが増え、転倒リスクも上がります。結果として余計に時間を失います。
ふたつ目は、全部を自分で抱えようとすること。新人ほど、家族から追加相談を受けても断れず、現場で悩んだまま黙って処理しようとします。でも、それを続けると、ルール違反か、無理な善意のどちらかになりやすいです。わからないことを早く上げる人のほうが、伸びます。
みっつ目は、介助を力でやろうとしてしまうことです。特に男性の未経験者に多いのですが、腕力で移乗をなんとかしようとすると、本人も自分も危ない。介助は筋力ではなく、姿勢と重心移動と準備が大事です。ここをわかってくると、仕事の疲れ方がかなり変わります。
収入を上げたい人ほど「件数」より「信頼の再現性」を考えたほうがいい
介護転職の相談では、「どうすればもっと稼げますか」という質問はよく出ます。もちろん大事です。ただ、介護タクシーに関しては、件数を増やすことばかり考えると、途中で崩れやすいです。理由は簡単で、この仕事はリピーターと紹介で安定しやすいからです。
つまり本質は、一回たくさん乗せることより、またお願いしたいと思われる状態を再現できるかです。時間通りに来る。雑に扱わない。急ブレーキが少ない。会話が押しつけがましくない。家族への報告が安心できる。こうした小さな積み重ねが、結果として収入の土台になります。
開業を考える人ほど、この視点は重要です。最初はどうしても「営業しなきゃ」「件数を埋めなきゃ」と思います。でも実際は、評判が立つ人は営業トークがうまい人ではなく、現場が丁寧な人です。ケアマネさんや家族は、派手な宣伝よりも、「あの人なら任せやすい」を見ています。介護の世界は、思っている以上に口コミで回ります。
腰痛、メンタル疲労、待機時間のしんどさをどう乗り切るか
介護タクシーは、外から見るより疲れ方が独特です。乗車中だけ忙しいのではなく、待機、移動、介助、説明、記録の波があるので、地味に消耗します。しかも疲れが見えにくい。だからこそ、続ける人ほど自己管理を仕事の一部として考えています。
腰痛対策では、「重い人を持ち上げない」ではなく、一人で無理な形を作らないことが大切です。足の位置、ベッドや車いすの角度、手をかける順番、声かけで本人の動きを引き出すこと。この基本を崩すと、数か月後に一気に腰へ来ます。疲れた日に雑な介助をしないためには、忙しい日ほど手順を省略しないことが重要です。
メンタル面では、キャンセルや予定変更を自分のせいにしすぎないこと。介護タクシーは利用者さんの体調や家族事情、病院都合で予定が変わりやすい仕事です。きっちり組んでも崩れる日があります。そこで「自分の段取りが悪い」と抱え込み続けると、必要以上に消耗します。現場で安定している人は、予定変更を感情で受けず、仕事の性質として処理しています。
あと意外に大きいのが待機時間です。何もしていないようで、実際は気を張ったまま待つので疲れます。こういうときに、スマホをだらだら見るより、水分補給、軽いストレッチ、次の情報整理をする人のほうが後半崩れにくいです。地味ですが、ここにプロ差が出ます。
家族対応がうまい人は、現場でも転職でも強い
介護タクシーは利用者さんだけ見ていればいい仕事ではありません。実際は、ご家族との関係づくりがかなり大事です。家族は、利用者さん本人以上に不安を抱えていることも多いからです。特に初回利用や、退院直後、状態変化のある時期は、家族の表情や質問の量にその不安が出ます。
ここで大事なのは、説明を長くすることではありません。安心材料を短く、はっきり伝えることです。「今日は段差があるので、この順番で介助します」「車内ではこの位置で固定します」「到着後はここまで対応します」。この一言があるだけで、家族の緊張はかなり下がります。
逆に、専門用語ばかりで説明したり、「大丈夫です」とだけ返したりすると、信頼が積み上がりません。介護キャリア全体で見ても、家族に伝わる言葉で話せる人は本当に強いです。現場力があるのに評価されない人は、技術ではなく説明の部分で損していることが多いです。
個人的にはこうしたほうがいいと思う!
ここまでいろいろ掘り下げてきましたが、個人的にはこうしたほうが、ぶっちゃけ介護の本質をついてるし、現場の介護では必要なことだと思うのは、「うまくやる」より「雑にしない」を徹底することです。
介護タクシーって、つい運転技術とか資格とか制度の話に目がいきます。もちろん全部大事です。でも、現場で本当に差が出るのは、利用者さんを前にしたときの細かい姿勢なんです。急がせない。勝手に決めつけない。いつもと違うに気づく。できないことは曖昧に引き受けず、きちんと説明する。これって派手じゃないし、SNSで映えるような話でもありません。でも、介護の信頼って、結局こういうところでしか積み上がらないんですよね。
それに、転職で成功する人も同じです。条件だけで飛びつかず、「この職場は人を雑に扱わないか」「新人を放り出さないか」「利用者さんの尊厳をちゃんと守っているか」を見ている人は、あとで強いです。介護の仕事って、特別な才能より、当たり前を雑にしない人が一番信用されます。
だから、これから介護タクシーを目指すなら、まずはすごい人になろうとしなくていいです。むしろ、今日会う一人を雑にしない人を目指したほうがいい。その積み重ねが、結果として利用者さんの安心にも、自分の評価にも、転職後の定着にも、将来の収入にもつながっていきます。遠回りに見えて、たぶんそれがいちばん強いです。
介護タクシーの仕事内容に関する疑問解決
介護タクシーは未経験でも働けますか?
働けます。ただし、未経験歓迎と書かれていても、実際に楽という意味ではありません。二種免許や初任者研修の取得支援、同乗研修、介助マニュアルの有無まで確認して選ぶと失敗しにくくなります。
介護タクシーは女性でもできますか?
できます。むしろ丁寧な声かけや安心感のある接遇が評価されやすい職種です。体格差が不安なら、移乗方法や福祉用具の扱いをきちんと教える職場かどうかを見てください。力任せではなく、技術で負担を減らすのが基本です。
介護タクシーは夜勤がありますか?
一般タクシーほど夜勤中心ではありません。通院需要が主な事業者では日中勤務が多めです。ただし、退院搬送や自費利用、地域特性によっては早朝や夕方以降の対応もあります。求人票の勤務時間だけでなく、実際の予約傾向を聞くのが大切です。
開業すればすぐ高収入を狙えますか?
すぐには難しいです。介護タクシーは予約商売なので、車を買った瞬間に仕事が埋まるわけではありません。病院、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、ケアマネジャーとの信頼づくりが必要です。高収入を目指すなら、運転技術より先に地域で選ばれる理由を作る発想が欠かせません。
まとめ
介護タクシーの仕事内容は、表面だけ見ると送迎業務です。でも実際には、制度理解と介助技術と接遇力が重なった専門職です。だからこそ、ただ「車の仕事がしたい」だけで選ぶとズレやすい一方で、「人の役に立ちながら運転の経験も活かしたい」という人には、とても相性がいい仕事でもあります。
- まずは、自分がやりたいのが就職なのか将来の開業なのかを決めてください。
- 次に、二種免許と初任者研修の取得順を考え、無理のない学習計画を立ててください。
- 最後に、求人を見るときは給与額だけでなく、介助範囲と研修体制まで必ず確認してください。
介護タクシーは、派手ではないけれど、なくなるほど困る人が多い仕事です。だから将来性は、流行ではなく社会の必要性の上にあります。もし今、転職候補として迷っているなら、「自分は誰かの移動の不安を減らす仕事を続けたいか?」を基準に考えてみてください。その答えが「はい」なら、この仕事はかなり有力な選択肢になります。



コメント