保育園や小学校の代わりに職場で預かっていいの?アリかナシか!

職場で子どもを預けるのは? お悩み相談について
お悩み相談について

新型コロナウィルス感染症が蔓延していて、保育園も学校も臨時休園・休校になっている日本において、働いている親としては「職場で預かってほしい」「子どもを預ける先がないから有給とりたいです」って介護がある老人ホームの職員は思いますよね。

テレワークができれば、考える必要もない問題ですが、対面でしか仕事ができない介護業界や医療業界などは、とても重要な問題です。

職場の空いているスペースで子どもを預かれないの?

今回は、介護というテーマではなく、介護や医療現場で働いているお父さんお母さんの「子どもを預かる」というテーマでお話していきたいと思います。もちろん、客観的にアリかナシかを考えていきたいので、法律的・会社的・親的の3つの視点で「職場で預かっていいのかどうか」考えていきたいと思います。

ちなみに、Twitterでアリかナシかアンケートを取った結果、64%でアリという結果になりました。皆様ご協力ありがとうございました。

そもそも職場に子どもを連れてきていいのか

ボクは会社に行ってもいいのかな?

ボクは会社に行ってもいいのかな?

最初に考えなければいけないのは、「職場や会社に自分の子どもを連れてきていいのかどうか」という「そもそも論」についてですよね。

預けたいけど、今働いている会社には制度としてないし、子連れ出勤を認めている会社もあるから問題ないと思うけど…。

でも、深く掘り下げて考えたことってないですよね?考えるときに大切なのは、他の会社がやっているのは「なぜ」かです。

法律的・会社的・親的にアリかナシか考えたいと思います。


法律的にアリかナシか

法律的に考えれば、会社と労働者が合意の上であれば、アリというのが結論です。

会社は、従業員に対して働きやすい環境整備をするように「仕事と生活の調和にも配慮 」するよう労働契約法で定められていますが、子どもを会社へ連れてきたいという希望者がいたら、必ず会社に連れてきていいように許可しなきゃいけないということではありません。

つまり、法律的には、会社は子どもを連れて出勤することを許可したり、職員の子どもを預かる託児所のようなものを作る義務は課せられていないということです。労働契約法は「労働者の待遇について均衡が図られるようにする」目的で作られています。法律の条文の中には、「仕事と生活の調和にも配慮 」することワークライフバランスに配慮することが求められていますが、会社が託児所を作らなければ法律違反ということではない。託児所がなければ、法律違反なら日本の会社の98.4%の会社は、法律違反ということになりますね。

しかし、育児時間(労働基準法67条)については、会社は労働者の希望があった場合、取得させないと違法になります。(6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)

(育児時間)
第六十七条
生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
○2 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
※労働基準法67条から抜粋

法律的な結論を言うと、会社に子どもを連れてくることに対しては法律違反ではないし、育児時間を請求された場合は、法律に則り対応しなければいけませんが、対応方法として必ず託児所を作るなどの対応をしなければ、会社が法律に違反しているということではありません。

会社的にアリかナシか

つぎに、会社的にはどうなのか。

結論、会社は職員に働いて欲しいからアリと思っています。

会社にとって従業員は貴重な労働力です。仕事をしてもらわなければ、業績や利益もあがりません。そもそも、労働者がいらないなら、社長が1人でやった方が単純利益でますから。でも、社長が1人でやらないのは、1人ではできないからです。会社の利益は、人が労働することで成り立っています。働いて欲しいのが会社の本音です。

だから、環境や制度を整備して少しでも働きやすい職場にして、気持ちよく働いてもらうというのが、会社本来の動きです。子連れでも仕事をしてもらえる制度を作ることによって、育児を理由として休まなければいけなくなる従業員にも仕事を続けてもらえるます。会社的に考えれば、職員の採用の目玉になったり、保育所に入れることができずに悩んでいる保育所難民にとって会社の福利厚生として、とても魅力を感じますよね。

しかし、会社に子どもを連れてきてまで、業務を行ってほしいかと言われれば、100%そうとは言い切れません。

小さい子どもは宇宙人です。何をするかわかりません。おもらしをして泣きわめいたり、そこら中に鼻くそつけたり、走り回って書類が宙を舞うことだってあります。そんな状況で果たして、人は集中して仕事ができるのでしょうか。大人の事情を子供は理解できません。

会社は、子育てや育児について支援はするが、子どもを専門で見守る施設ではありません。保育園や幼稚園のように、子ども用の設備がしっかりしているわけではありません。

怪我などトラブルがあった時、会社の社長や建物の管理者は、責任を負わなければいけなくなります。環境や設備が整備されていないのに子連れ出勤を許可した場合、会社側の不手際によって、親子の安全や健康が害されることとなれば、「安全配慮義務違反」の責任を問われ、慰謝料請求を受けるおそれもあります。

でも、人手が不足している会社や業界は、働いてもらいたいから、深く考えず地盤固めもせずに「なあなあ」で子連れ出勤を認めてしまうかもかもしれません。しかし、出勤できる人手が集められないから、子連れ出勤を認めたが事故が起きて子どもが怪我をしたら、職員から訴えられたなんて言ったら本末転倒です。

会社からしてみたら、リスクにもなりえるし、会社のアピールポイントとしても使える。1つ間違えれば会社の運営を壊しかねない危険性と魅力を含んでるものだから、アリだけど簡単に子連れ出勤を制度として実施できないという背景もあります。

親的にアリかナシか

親的に考えてみれば、アリでもあるしナシでもあるという賛否両論が結論です。

職場に連れて行ったら、とりあえずは子どもの動きが、すぐ見える位置にいるから親も子どもは、少しは安心できるかもしれません。しかし、会社や同僚に迷惑をかけてしまうんじゃないかと不安と心配になってしまう親は少なからずいると思います。

また、職場の人みんなが受け入れてくれるとも限りません。人によっては子どもが嫌いな人もいますし、子どものいない職員からは良い目では見てもらえない、わかってもらえないケースは多いです。

会社自体が体制を整えて、不安なく職場で仕事ができる環境となると、きちんと制度として組み込まれている会社でなければ、子どもを連れて出勤なんかできないというのが親の本音だと思います。

しかし、制度としては魅力的です。お金がなければ子どもにしてあげたい事も満足にできませんし、働かないといけないのに認可保育園に落ちてしまったり、自分のキャリアの為に仕事も育児も諦めたくない方にとってはすごい働く意欲がでます。

子連れ出勤をしても他の社員が白い目で見ない、出勤時間をラッシュ時を避けて調整できるなど、子連れ出勤をする労働者側に寄り添った会社として既に確立されているのであれば賛成だが、そうじゃなければ意味をなさないから反対というのが親としての意見です。


社会福祉施設に職員の子どもを預けていいのか

社会福祉施設でも子連れ出勤していいのかな?

社会福祉施設でも子連れ出勤していいのかな?

じゃあ、社会福祉施設で子連れ出勤をするのは、アリなのかナシなのか。

社会福祉施設と言えば、介護施設・障がい者施設・保育園などの日常生活及び社会生活を総合的に支援するための施設が社会福祉施設です。社会福祉施設には、色んな人が利用しています。介護が必要なおじいちゃんやおばあちゃんがいる老人ホームがあったり、知的障がい・発達障がいの方がいる障がい者施設だったり、自宅で生活することが難しい方が、通っている住んでいる施設が社会福祉施設になります。

法律的・会社的・親的にアリかナシか考えていきたいと思います。

法律的にアリかナシか

まず、法律的にはどうなのか。

結論、法律を守れば社会福祉施設でも子どもを預かることはアリです。

社会福祉施設で子連れ出勤を認めるのであれば、法律的にクリアしなければいけない2つのポイントがあります。

2つのポイント

  • 施設利用者の安全
  • 子どもを預かる為の一定基準

まず、施設利用者の安全をクリアしなければいけません。

施設の利用者の安全を守るのは施設の役目でもあり、入居者が健康で安全な生活を維持するのが社会福祉施設の存在意義でもあります。老人福祉法や老人ホームの運営指針にも、安全を確保することが施設を設置する前提条件にも組み込まれています。つまり、子どもとトラブルが起きてしまう利用者がいる場合は、利用者のスペースと子どもを預かるスペースを分けて安全をしっかり確保できるのが、大前提になります。

次に、子どもを預かる為の一定基準です。

子どもを会社で預かる為の一定基準には、人員配置と設備的な面をクリアしなくてはいけません。

人員配置とは、子どもを預かる場所に配置する職員のことです。施設職員の半数以上は、保育士の資格を持っていないといけません。それ以外の方に関しても、「子育て支援員研修」を受講・修了している必要があります。設置する年に受講予定となっていれば問題はありませんが、あらかじめ準備をしておく必要があります。

また、施設の設備面も決まりがあり、預かる子どもの数で基準が異なります。まずは、定員20名以上の場合の基準です。

共通 医務室、調理室、幼児用便座付き便所
1歳以下 乳児室(1.65m²/人)・ほふく室( 3.3m²/人)
2歳以上 保育室または遊戯室(1.98m²/人)、屋外遊技場(3.3m²/人)

※児童育成協会の企業主導型保育事業 制度概要から引用

次に、定員20名未満の場合の基準です。

共通 調理設備、幼児用便座付き便所
1歳以下 乳児室・ほふく室(3.3m²/人)
2歳以上 保育室または遊戯室(1.98m²/人)、屋外遊技場(3.3m²/人)

※児童育成協会の企業主導型保育事業 制度概要から引用

社会福祉施設で、子どもを預けるのであれば、最低限守らなければいけない2つのルールになります。子どもを預かる一定の基準について対象年齢には法律上の決まりはなく、施設ごとに自由な範囲で決めていいので小学生であろうが中学生であるが関係ありません。

会社的にアリかナシか

会社としては、やりたいけど難しい、アリだけどナシが結論だと思います。

理由は、社会福祉施設は、設置する際に行政に連絡して許可をもらって社会福祉に従事する為に作られている施設だからです。

例えば、老人ホームでは、何人受け入れられるベッドがあるかやデイサービスなどの機能を作るかどうかは、最初に行政と調整しながら立てていきます。設備の基準なども決まっている為、ある程度の枠は決まってきてしまいます。また、受け入れられる人数が多い方が、入居したい人にも喜ばれる傾向があったり、売り上げを少しでも上げたいのであれば、多くの人数を受け入れられる施設を作った方が、法人的にも入居を希望している人にも嬉しいという側面もあります。

人数を、多く受け入れられるようにするということは、子どもを預かる空きスペースがないということです。

もちろん、社会福祉施設を設置する際に、新築の施設であれば、建てる前に施設の機能として設計することは可能だと思います。しかし、施設の中にスペースがない以上、子どもを預かる専用スペースを設けることは難しいですし、後付けで設備を整えるとなると各市町村などの行政自治体に許可を通さなければいけない手間や費用も発生してきます。

会社的には、法律的な部分をクリアして、子連れ出勤を職員の福利厚生の1つとして打ち出していきたいけど、自社の場合だと保育士も配置できないし、設備的面をクリアできそうにないからと諦めてしまうでしょう。

親的にアリかナシか

親的に考えてみれば、アリでもあるしナシでもあるという賛否両論が結論です。

預ける先がない親にとってはとても嬉しいです。しかし、設備が整っていたらの話です。

(コロナウィルスで)預け先に困っている職員にとっては、とても助かるので嬉しい。社会福祉法人であれば、介護施設以外にも保育園を運営している法人もありますので、現役の保育士が自分の子どもを見てくれるのであれば、親にとっても安心ですよね。

プロが見てくれているなら、保護者も仕事に集中できますし、何かあってもすぐに動くことができるので安心ですよね。

静岡県にある社会福祉法人あしたか太陽の丘は2020年4月13日に、介護施設内に託児スペースを設け、運営する5施設に勤務する職員が子連れ出勤できるように、同じ法人内の保育士資格を持つ職員らが、母親らが仕事を終えるまで宿題やお絵かきなどをして過ごす子どもたちの面倒を交代で見るなど、環境を整備したとニュースでありました。会社が、ここまでやってくれているなら職員も嬉しいです。

しかし、環境が整備されていない場所で、その場しのぎの対策として行われているなら話は別です。プロの保育士もいない、自分も利用者にサービスを提供しなければいけない、そんな中トラブルがあったら、子どもの事も気にかけながらいけない。もちろん、子どもを忘れてる親なんていません。

仕事に集中できるための信頼関係や土台が何もない状態だから、大切な子どもを預けづらい。でも、会社は人手が足りないから、半ば強引に職員を休ませない為だけの理由づくりになっているなら、休ませてほしいという親は多いでしょう。


職員に勤務として見守りさせていいのか

職員の子どもを見てもらうのはいいのかな?

職員の子どもを見てもらうのはいいのかな?

職員に勤務として見守りをさせていいのかどうか。ここで言う職員は、会社に勤めている職員だが、会社の命令によって勤務扱いで子連れ出勤している施設や支店に派遣して、職員の子どもを見守りをさせても良いのかどうかです。

一見すると、「勤務命令ならいいんじゃないか?」「勤務でお金発生してるなら常勤・非常勤でも問題ないでしょ?」って思いますよね。

考えが甘い!

なぜ考えが甘いのか、法律的・会社的・親的な視点から見て、職員に勤務として子供の見守りさせていいのか考えていきましょう。

法律的にアリかナシか

結論、法律的には正社員はアリ、契約社員はナシです。

労働法的に、正社員は配置転換に関する就業規則がある場合には、行かざるおえません。もちろん、配置転換や出張などに関する規定が就業規則にあり、内容が合理的なものであれば、就業規則の内容が労働契約の一部となり、会社は本人の同意を得ることなく、人事異動を命じることができて、正社員はその人事異動命令に従う義務が発生します。

つまり、正社員は、会社が「業務上の必要性が存在しない」「不当な動機・目的がある」「労働者の不利益が大きい」などの権利の乱用が認められる合理的じゃない配転命令は無効だが、合理的な理由がある場合は、職員は会社の命令に従わなければいけないということになります。

契約社員は、契約時に定められた業務の範囲ではない業務をする場合には、同意するかどうかで決まります。つまり、契約社員本人の同意がなければ契約書で限定している内容以外の労働させることは法律違反になります。もちろん、パートやアルバイトでも同様です。

会社的にアリかナシか

結論、会社的には職員との合意があればアリです。

会社が勤務中に出張命令として職員を派遣するのは何ら問題ありません。しかし、本来の業務内容とは異なりますので、職員の不安を解消させる為の説明責任は負っていると考えられます。会社から「子ども見とけ!」って言われても怪我した時の連絡先や対応方法も含め、ある程度のルールや対応マニュアルは整備しておくのが、社会通念上は適切です。

しっかりとした整備を行うことで、労働者と使用者のトラブルを避けることができます。

親的にアリかナシか

結論、親的には保育士だったらアリです。

やはり、プロである保育士資格を持っている人に、見てもらわないと安心して仕事なんてできないでしょう。しかも、お金もらっている職員と知ったらなおのことです。介護の現場だとしたら、こっちはプロとして資格を活かして高齢者を見ているのに、誰ともわからない無資格者に大切な子どもを見て欲しいなんて思いませんよね。

訪問介護にいる人であればご存知だと思いますが、資格がなければ「入浴介護・排泄介護・食事介護など」してはいけないルールの中で仕事をしています。そんな中、ルールを破ってまでやっている会社に対しては疑問や不満の気持ちしか出てきません。選択肢がないから仕方ないで事故が起こってしまってからでは遅いです。

やっぱり、仕事に安心して打ち込めるようになるには、保育士に見て欲しいというのが親の気持ちです。

子どもを預ける場所がない時どうしたらいい?

テレワーク・家事・育児に悩む人へ

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ここまで、ご覧になっている方の中には、「学校、保育園、職場で預かれなかったら時どうしたらいいの?」って疑問を持った方も多いと思います。

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まとめ

まとめ

今回のまとめです。

総合すると、子連れ出勤や子どもを職場で預かるのであれば、必要なハードルや会社としての制度や設備など環境整えることをクリアすれば子育て世代の職員も喜ぶ、win-winな機能を設置できるというのが結論です。

法律的なハードルは、社内整備を行えば、十分に可能です。もちろん、子どもの居場所になるスペースがないということもありますが、2020年4月現在、絶対不可能かと言われればそうではありません。いつもは来客スペースとして使用していた部屋や使用頻度が少ない部屋もコロナウィルスの影響で使用頻度は落ちるでしょうし、一時的に預ける場所として整備することは可能だと思います。しかし、各行政に話を通してアリかナシかの確認は必ず必要になってきます。コロナウィルスで、混乱している中、ちゃんとした手順を踏まずに良かれと思って強行する会社もいると思います。でも、法律やルールを守らなければ、罰せられる可能性もありますし、会社のイメージを悪くしてしまいますから強行でやるのは辞めましょう。

会社にとっても、職員の福利厚生の目玉として上手くアピールすることができれば、人材確保にもつながってくると思います。もちろん、親の立場や配置される職員の立場にも寄り添いながら運用していくことが大切です。

子供を育てる親にとっても、安心して働ける環境が会社に整備されているのであれば、保育園に落ちたとしても「働く事ができる!」「子供の為に頑張ろう!」って思って頑張れますよね。

頑張る親が会社に増えれば、生産性も上がって良い方へ進んでいき、質の向上にもつながりますよね。

「少子高齢化の日本」+「人がいない介護・福祉業界」+「コロナウィルスで預ける先がない状況」を好循環にするチャンスが今来たのかもしれません。

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